メモ

□神様のカミサマ
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神様と十二支たちが交わした契り。
それは神様自身が生み出したものなのだろうか。
全てを見守ることが役目であるその人には、その術(すべ)は高度であり禁忌だ。
故にこの場にも十二支と神様、そして裏切り者の猫だけではなく彼女がいるのだ。
猫よりも深いところに隠された存在。
神よりも崇められる存在。
草の中に紛れた、事の始まりを成した人。
一人だけ"御神"を名乗るその一族は、十二支の呪いに最も深いところで関わる人物たちだった。
しかしその詳細を知るものは少なく、例え十二支付きの彼らであっても知らないことのほうが多い。
秘密に囲われた存在が、しかし今、鎌首をもたげて一歩踏み出した。

***

二年生の教室に空きの席が一つ。
入学式のその日にそれを見つけたのは透だった。


「転校生でも来るのでしょうか?」


ぽつりと呟いた言葉は、咲の呼びかけに消えた。
頭の中の奥の奥に押しやられたその思いも、再度この場に戻ってくる頃には忘れ去られているのだろう。
だがしかし、歯車は既に廻り始めている。
彼ら、そして彼女とあの人が出会うのはそう遠くない未来だ。


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