抜き身に気を付けて

□#08
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忍の神気は底なしと揶揄されてきた。
というのもその数値化したものは一般的な審神者の何十倍もの量で、毎回の検査でもその数値は変化ない。
まぐれなどではないということだ。
しかしだからといって有能な審神者であったわけではない。
大きすぎる神気は付喪神を降ろす際には厄介なもので、毎度刀身を砕いてしまっていた。
そのため権限の確率は低く、審神者としての役割は果たせそうにないというのが現実だ。


「だからまあ、顕現できないから鍛刀しないから、それでよろしく」


あっさりとそう言いのけた忍を彼らは目を真ん丸にしながら見つめる。
もちろん一通り揃っているためわざわざ鍛刀をする必要はないが、それでもやはり言い切られるのはなにかもやが残る。


「それでは、新しく仲間が発見されたらどうするのです?」


宗三の問いかけに忍はたった一つの答えを告げる。
それは正当な方法ではあったが、かつてなく途方もないものでもあった。


「地道に道中で拾ってくしかないよね。それ以外の方法なんてないし」


案外あっさりと言われてしまったそれに、宗三はすっと目を細めた。
それは彼女への勝手な過度な信用によるものだ。
けれど忍はそんな彼のことなど一つも気にせず、淡々とそう言い捨てる。


「努力はされないのですね」


嫌味のようにそう返した宗三。
だがそんな彼へ忍は能面のような表情を向けた。
それが現す心は誰にもわからないのだろう。


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