メモ
□肌咲き乙女
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ある日堀は疑問を持った。
「ねぇ宮村、アンタのタトゥーってどうやってんの?」
唐突な質問に宮村は目をパチクリさせる。
一度見られたタトゥーを、彼女はまだ覚えていたようだ。
「彫ってもらってるけど…」
「それは自分でじゃないんだね」
ふぅん、と納得したように言う堀。
しかしそれなりの知識を持っていれば、そんなことは聞かずともわかることだ。
「まあ、それなりの技術も必要だし、機材もいるしね」
タトゥーのある位置を指先で撫でながら言う宮村。
そして言いづらそうに眉を寄せた。
なにせこれを彫った相手は堀も知っている人物なのだ。
言ってしまえばクラスメートな彼女は今日もいつぞやの宮村のようにこっそりと教室にいる。
長い黒髪を三ツ編みにし、長い前髪を垂らして本を読むのだ。
秘密の多い宮村でも、彼女の秘密の多さには敵わない。
なにせ、彼でも彼女について知っていることは片手で足りる程度。
自分からはなにも言わない、そんな彼女の側が心地よかったのも事実だ。
「まあ、誰かは言わない約束だから。ごめんね、堀さん」
そう言えば、興味は拭えなくても納得した堀。
しかし好奇心は一ミリだって拭えなかった。
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