メモ

□不幸少女の理想的未来
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もしも叶わずともすでに持っている才能とやらが神様からのプレゼントなのならば、私はその神様とやらに相当嫌われているようだ。
叩きつけられるだろう灰色のコンクリート。
でこぼこが見えるそれにぶつかれば、十中八九怪我は免れないだろう。
また怪我するのか、面倒だななんて、そう思える自分はきっと冷めているのではなく、人間味のない人間なんだと言われるのだろうか。
頬に当たる固い感触。
しかしコンクリートのような痛みではなくてゆっくりと目を開ける。
するとたくさんの足と茶色い木目床。
鼻孔を木の匂いが通っていった。
ぼんやりとした頭はただ体が痛いとそう思うが、それは序章でしかなさそうだ。
髪を捕まれたことを何となく感じる。
そして無理矢理上を向かせられた。
プチプチと髪が抜ける感覚に眉を寄せる。
すると視界にいた男はあろうことかチルを背後の立て掛けていた木材の束へと放り投げたのだ。
背中に走る熱と痛み。


「…っ」


痛みは声にならずに喉の奥で掻き消えてしまったようだ。


「てめぇ、能力者だろ。またオヤジの首狙いに来たのか?」


頭を踏みつけ問いかける声が胸を抉る。
そんなこと知らないと言いたいが、気持ちはきっと伝わらない。
ただもがくように乗せられた足へ手を伸ばせば、弾かれただけで助けなんてものは与えられなかった。


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