石楠花物語小学校時代

□小3時代
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⚪同・スタッフルーム

麻衣「あ、桃代お姉ちゃん、お帰り。どう?あの子達大丈夫だった?」
桃代「うん、なんとか間に合ったみたい。」
麻衣「良かった、あ!」

   腕時計を見る。

麻衣「なら桃代お姉ちゃん、ぼちぼちお風呂を炊かんと?」
櫻子「あ、忘れてた!!それは私の仕事だ!!」

   急いでお風呂場に向かう。

尾上京平の声「今晩は、ごめん下さい。」
麻衣「あ、誰か来た。」
梅生「きっとお客さまだよ。お姉ちゃん。」
桃代「あ、はーいっ!!」

   スタッフルームを出る。


⚪同・ロビー
   泉野馨子と尾上京平がトランクを下げてやって来る。

尾上「夜分遅くなってしまい、申し訳ございません…予約をしている尾上です。」
桃代「あぁ、尾上様ですね。お待ちしておりました。」

   受付をしている。

桃代「そちらの方は?」
尾上「あぁ、私の連れです。近々契りを交わそうと思っておりまして。」
桃代「まぁ!!それはそれは、おめでとうございます!!」


⚪同・客室
   和裏先生が入ってくる。

和裏先生「男子諸君!!お風呂の準備が出来たと連絡が入った。入るように。」
全員「はーいっ!!」 

   和裏先生が出ていくと、みんな大はしゃぎで準備をしだす。


⚪同・温泉
   芋洗いのように三年生男子、お風呂に入っている。

千里「はぁ、気持ちいい…広いなぁ…」
清原「あぁ、僕もまさかこんなに広いお風呂があるだなんて思いもしなかったよ。」
園原「本当、本当!!それにしても君、」
千里「ん?」
園原「ガリガリなんだね。体…」
清原「骨盤とか、見えてて女の子みたい。」
千里「だって、仕方ないじゃん。まだ子供なんだもん。」

   そこへ尾上京平

尾上「お、修学旅行生かい?偉い小さいねぇ?」
園原「うん、だってまだ僕たち三年生だもん。」
清原「社会見学だよ。京都から来たんだ。」
尾上「ほぉ、京都から?遠いとこから来たんだね。」
千里「お兄さんは?」
尾上「僕は、…と言いながら、僕も大阪から来たんだ。お医者さん、研修旅行さ。」
千里「へぇー、」
尾上「それにしても君…いくら子供とはいえ、学習旅行だろ?ちょっとまずくないか?」
千里「へ?何がです?」
尾上「女の子のお風呂は隣だよ。同級生の男の子と一緒に入ってもいいの?」
千里「お、お、お、お…女の子のって…僕は、僕は…男ですっ!!」

   恥じらいながら湯船から立ち上がる。

千里「見なっ!!」
園原、清原「おぉっ!!」
   
   又真っ赤になって浸かる。

尾上「そうかそうか、これは悪い悪い、悪かったな坊や。」

   爽やかに笑う。

尾上「でも君、体までもが女の子みたいなんだな。」
千里「お、お、お、お…」

   いい加減不貞腐れて言葉をのみ、つんっとそっぽを向く。

尾上「ごめんごめん、冗談だよ、冗談なんだってば。機嫌直せよ。、な、な、ね。」

   笑いながら千里を宥め、ご機嫌をとる。園原、清原も笑いながら宥める。

⚪同・フロント
   麻衣、梅生、桃代、櫻子

麻衣「あの子達は?私達と同じくらいね?」
桃代「そ、全く麻衣ちゃんと同い年。京都から社会見学でここへ来たんだって。」
麻衣「へぇー。京都の子はこんな遠くまでこんな小さいうちから来るんね。立派。」
櫻子「だからさっきの子、泣いちゃってたんだね…寂しくて。」
梅生「そりゃお母さん恋しいよ…不安だよ。ねぇ、麻衣ちゃん。」
麻衣「えぇ、ほーね。」


⚪同・尾上の客室
   尾上、馨子がお茶を飲んでいる。

尾上「馨子、遠い旅ご苦労。お疲れだろ。」
馨子「えぇ、私は大丈夫、京平さんこそ…」
尾上「私は平気さ。入浴をして来たら一気に安らいだ。馨子、お前も早く入っておいで。」
馨子「えぇ、では…」

   荷物を持って部屋を出ていく。


⚪同・フロント

麻衣「ほいじゃあ、お言葉い甘えさせていただき、私もとりあえずお風呂に入って来ます。」
桃代「どうぞ。夜はここ、私一人で大丈夫だから。梅生、櫻子、あんたたちも行ってきな。」
梅生「やったぁ!!」
馨子「なら…麻衣ちゃん、」
麻衣「はいっ!!」

   三人、フロントを出ていく。


   梅生、貸しきりのお湯に悠々と浸かっている。


⚪同・女子風呂
   麻衣、櫻子、馨子、美代

麻衣「あ、あなた。」

   微笑む。

麻衣「さっきの社会見学で来た子ね?」
美代「えぇ。お姉さんは?」

   少し考えて笑う。

美代「あ、分かった!!フロントのお姉さんだ!!」
麻衣「正解、柳平麻衣…小学校三年生。あなたは?」
美代「え、私たちと同じなの?」

   目を丸くする。

美代「美代、もっとお姉さんかと思った!!私は美代。田夢美代、さっきは千里ちゃんをありがとう。」
麻衣「いえいえ。あれからどう?あの子、泣き止んだ?」
美代「はい、お陰様で。今はもう元気になって部屋で遊んでいます。」
麻衣「ほー、良かった。」
馨子「娘さんはフロントの?まだ小学校三年生って…えらいわね、しっかりしてるわね。」
麻衣「いえ、私はただ親戚のお手伝いに来ているだけですよ。」

   微笑む。

麻衣「お姉さんもさっきのお客さまですね、」
馨子「えぇ。」
櫻子「尾上様とは恋仲なのですよね、」

   ニヤリ

櫻子「もう馴れ初めの契りは交わしましたか?」
馨子「こらっ、」

   赤くなって櫻子をこずく。

馨子「子供が大人にそんなことを聞くものではありません。」
櫻子「子供って…私はお客さまとそんなに年齢変わらないと思いますよ、今年で19ですもの。」
馨子「あら、これは失礼…私と一つしか変わらないわ。」

   四人、其々に打ち解けあってベチャクチャ。


⚪同・客室
   時間が経って消灯になる。千里、仰向けで眠りながら目を見開いている。

千里(パパ…ぁ、ママぁ…早く帰りたいよぉ…寂しいよぉ…)

   目に涙が溢れてきて再び者繰り上げる。布団に顔を埋めて静かになく。
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