石楠花物語小学校時代

□小2時代
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⚪同・千里の部屋
   千里、珠子に顔を埋めて泣いている。

小口「弱虫めが、」

   笑う。

小口「友達に怖い話をされたって?千里は繊細だからね、そういう話もすぐに信じちゃうんだ。」
千里「ねぇママ、僕のとなりで寝て、お願い。何処にも行かないで、僕を一人にしないで。」
珠子「分かってるわ。ママはずっとここにいるわよ。さぁ、おしっこして寝ましょうね。」

   千里、首を強く振る。

珠子「行きたくないの?」
千里「したくない…」
珠子「でも、せんちゃんおしっこしてから寝ないとおねしょしちゃうじゃないの!」
千里「いい、いい…」
珠子「なら、絶対におねしょはしないでね。じゃあ寝ましょう…お休み…」
千里「お休み…」

   布団に入る。

小口「消すぞ。」

   電気を消す。

千里「ダメっ、」

   パッと起き上がる。小口、びくり。

小口「何だ千里、まだ起きていたのか。どうした?」
千里「お願い、電気消さないで!!」
小口「分かったよ分かった。分かったから早く寝なさい。」
千里「はーい…パパ、お休み。」
小口「はい、おやすみな千里。」

   小口、電気はそのままに布団に入る。


⚪同・麻衣たちの部屋
   全員、眠っている。麻衣がむくりと起き上がる。

麻衣「トイレ…」

   部屋のトイレに入る。寝ぼけている。

   ドアをガチャガチャ
  
麻衣「んー?誰ぇ?」

   ストン、ドスンっと鈍い音。

麻衣「何?」

   ドアが開く。
 
   洋便器の上、縄が吊るされ、男女が首をつって死んでいる。

麻衣「…。」

   ぼわーっとつったってそれを見つめているが、何事もないようにトイレに入って洋便器の蓋を開ける。

幽霊たち「(汗)…」


   麻衣、暫くして何事もなかったかのようにトイレを出てくる。そして再び布団に入って寝入る。

   トイレにはもう何もなく、死体の姿もない。

⚪茅野駅
   麻衣、千里、小町、孝太、公子、操。

孝太「ふーん…なら、千里は暫くは宮川にいるんだ?」
千里「うん、この秋の連休の内はずっと宮川のおじいちゃんのところにいるよ。そしたら又京都に帰っちゃうけど、冬休みになったら又来るよ。」
操「ふーん、ならさ、折角仲良くなったんだ。この休み中、僕らと少し遊ぼうよ。君に色々なところ案内するよ。」

   微笑む

操「遠い親戚同士…。」
麻衣「遠い親戚同士!」
千里「うんっ!!」
麻衣「なら何して遊ぶ?」
公子「諏訪と言えば?」
麻衣「生酒っしょ?」
孝太「おいおいお前、もっと子供らしいもん言えねぇのかよ?」
操「温泉とか?」
小町「温泉博覧会!!」
麻衣「ほーほー、ほれが今やっとるに。なぁ千里君、折角だもの、この休み中、行ってみない?」
千里「え、温泉?」
操「僕も賛成!!」
千里「…分かった、いいよ、なら僕も。」
操「決まりっ!!」


⚪ロマネスコシルク・休憩室
   操、小町、孝太、公子、千里、麻衣。珠子、紅葉。

紅葉「まぁ、君は仲町さん家のご子息の操ちゃんと、小松さんちの双子ちゃんの孝太くんと公子ちゃんね。で、藤岡さんちの小町ちゃん、」
珠子「あらあら、みんなもう仲良くなって遊んでいるのね?」
孝太「この博覧会に参加しようっていったのは麻衣ちゃんなんだぜ?」
麻衣「あら?ほいだけど、私はただ行こうって言っただけで案を出したんは小町ちゃんと操ちゃんだらに。」

   三人、笑い会う。


珠子「とりあえず、お風呂入りましょうか。」
小町「ちょっとぉ、孝太と操ちゃんは男湯に入ってよね!!」
孝太「わ、わ、わ、分かってるよぉ!」
操「当たり前だ!」
小町「千里ちゃんは…」

   ニヤリ

小町「女の子の方に来てもいいわよ。」
公子「うんうん、大歓迎!君の裸ん坊、とっても可愛いんだもん。」

   千里、真っ赤になる。   

千里「や、や、や、や…やめろよっ!!」

   麻衣も赤くなってクスクス。

 
⚪同・女子風呂
   子供たち、背中の流し相をしている。珠子、紅葉、それを見て微笑む。 

珠子「無邪気ね…可愛い。」
紅葉「今が一番可愛らしい時ですわ。」
珠子「せんちゃんったら、あの子女の子みたいだから必ず女の子たちに弄られてる…京都でもそうなのよ…。」
紅葉「まぁ、お宅は京都からいらしたの?」
珠子「えぇ。でもこの秋の連休の間はこちらにいるのです。宮川に夫の実家がありますので…」
紅葉「旦那様、宮川の方?」
珠子「えぇ。」
紅葉「実は私も、実家が宮川でして、三人兄弟なの。旦那様、お名前は?失礼ですがおいくつ?」

   それぞれに打ち解けている。

⚪同・休憩室
   珠子、紅葉、お茶を飲んでいる。子供たち、わいわい遊び歩いている。

紅葉「他のお客さんのご迷惑にならないようにするのよ?」
珠子「外には出ては行けませんよ!!」
子供たち「はーいっ!!」

 
   子供達、エレベーターに乗ったり降りたりして遊んでいる。


⚪同・エレベーター内
   麻衣、千里、小町、孝太、公子、操がクスクスと笑いながら乗っている。みんな、カップのジュースを飲んでいる。

操「あ!!」  

   ジュースを溢す。

孝太「あ、ミサ!!お前溢した。」
麻衣「ふんとぉーだ、ミサちゃんやっちった!!」

   操、わざと知らんぷり

操「知らないもんっ、僕じゃないもん、僕やってないもんっ!!」   


   メンバー、おかしそうにクスクス。

 
⚪車内
   麻衣たちの車。麻衣、小町、公子、紅葉。麻衣、少しぐたーっとしている。

   後ろには千里たちの車がついてくる。ウインカーの合図を出す。

紅葉「ん?何かしら?」
小町「おばさんどうしたんですか?」

 
⚪ガソリンスタンド
   千里たち、麻衣たちの車が入る。紅葉、珠子、降りる。

紅葉「小口さん、どうなさったんですか?」
珠子「本当にごめんなさい…ちょっと息子がおしっこ我慢出来ないって…」
紅葉「まぁ、それは大変!!大丈夫ですよ。千里君は?」

   千里、車から飛び出る。麻衣も出てくる。

麻衣「母さん…」
紅葉「あら麻衣、あなたまでどうしたの?」
麻衣「私もちょっとトイレ…酔ったみたい…吐きそう…」
紅葉「えぇっ!?…分かったわ。」


⚪同・トイレ
   男女共同。千里が用を足している。そこへ麻衣が飛び込む。千里、ビクリ。

麻衣「ううっ…」

   麻衣、個室で吐く。

千里(…麻衣ちゃん…かなぁ?大丈夫?)
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