石楠花物語中学生時代
□中3時代(バージョン1)
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⚪岩波家
岩波、幸恵、悟が総出でせっせと大掃除をしている。
岩波「健司は?どうした?」
幸恵「さぁね…」
悟「あぁ、あいつならまだ寝てるよ。」
時間を見る。
悟「へー九時になるぜ。お袋、起こした方がいい?」
幸恵「全く、休みだからっていつまでも寝てて仕方のない子ねぇ。」
健司の部屋へと階段を上っていく。
⚪同・健司の部屋
健司、まだベッドに熟睡している。幸恵、素早く布団を剥がして健司をベッドから転げ落とす。
健司「いたっ、」
驚いてキョロキョロ
健司「何だ、…お袋かよ?一体何なんだよ。いてぇじゃねぇーか?」
幸恵「何なんだよじゃありませんっ!!いま何時だと思っているのっ!!早く起きなさいっ!!」
健司「ったくうっせぇーな、今は冬休みなんだししかも大晦日だろ?年末年始くれぇーゆっくりと寝かせてくれよ…。」
幸恵「普段から休みっていったらお昼まで寝ている人は誰でしたっけ?せめて年末年始位は早く起きて貰いたいわ。ほら、大掃除よ。お兄ちゃんもやってるのよ。だからあんたも早く着替えて家の事をやってちょうだい!!分かったわね。」
健司「ほーいっ。」
幸恵、出ていく。健司、めんどくさそうに舌打ちをして幸恵の後ろ姿を恨めしそうに睨み付けながら着替えを始め出す。
⚪同・台所
健司が欠伸をしながら入ってくる。
悟「おい、タケっ!!お前いつまで寝ているんだ。遅いぞ。」
健司「ったく、大晦日くらい、もう少しねかせろっつーの。」
お腹が鳴る。
健司「あー、腹へった…お袋朝ごはんは?」
幸恵「色々とあるでしょ?自分で装って食べなさい。」
健司「チェッ。」
岩波「お前が遅いからへー片付けちまったんだ。自分でやるのが嫌だったら朝早く起きて、家族で揃って食べるようにしなさい。」
健司「ほーいっ。」
ご飯やおかず、お味噌汁を色々と盛ったり準備している。
⚪小口家・千里の部屋
千里、伸びをして起きる。
千里「ん、ふぁーっ、よく寝たぁっ…と。」
目覚まし時計を見て青ざめる。
千里「嘘だろっ、やばっ!!どうしよう…」
正午。お昼の鐘も鳴っている。千里、頭を抱える。
千里「どうしよう…ついついこんな時間まで眠っちゃったよ…年末年始早々、又お説教されちゃうよぉ…」
肩を落としながら着替え始める。
千里「ふーっ、寒いっ。早くご飯食べて暖まろっと。」
部屋を出ていく。
⚪同・台所
珠子、夕子、頼子、忠子。お昼を食べている。そこへ千里。
千里「おはよ…」
夕子「何がおはようだよっ!!」
千里「ひぃっ」
夕子「あんたは…しかも二度寝したんだってね。姉さんから聞いたよ。全く呆れた人だよあんたって子は!!ほれ、書き初めは?やったのかい?」
千里「書き初めはは二日だろ…」
夕子「冬休みの宿題は?」
千里「うるさいなぁ!!年末年始くらいは宿題や勉強の話は頼むからしないでくれよ!!」
席についてレモンティーをくーっと一杯一気飲みする。
千里「冬休み中やるのは嫌だからね、そんなのもうとっくに済ましたさ。」
自信満々。
千里「とにかくママ、もう僕お腹ペコペコだよ。早く食べたいな。お昼は何?」
珠子「クルミのお汁粉よ。」
千里「わぁやったぁ!!美味しそう。」
珠子「せんちゃん、あなたお餅幾つ入れる?」
千里「んーんとねぇ、三つかな?いや、四つ。」
夕子「おいおい千里、よくばっいゃいけないよ。まずはとりあえず…せめてもの二つにしときな。」
千里「大丈夫だって!!」
夕子「新年早々お腹痛めたって知らないよ。私ゃへー見てやんないからねぇ。」
千里、嬉しそうにお汁粉を頬張っている。
夕子「それに今日は、大阪から私の夫…つまりお前の叔父の寧々が来るからね。きちんとおし。」
千里「やったぁっ!!」
夕子、千里をきっと睨む。千里、びくりとしてしゃんとする。
千里「はいっ!!」
語り【こうして、大晦日を得て、それぞれ三人の男女の新年は始まっていくのであった。この年は受験生の年…三人にとって一体どんな年になっていくのでしょうか…?】
それぞれの家では三人が家族たちと共に思い思いに色々を食べたりして楽しそうに過ごしている。
各各地で除夜の鐘が鳴り響く。
⚪諏訪中学校・教室
麻衣「え、パフォーマンス大会?何それ?」
真亜子「うん、何か藤森先生が学年総出で今年はやるらしいよ。」
眞澄「何だか、何でもいいからグループ作っても個人でもいいから、パフォーマンスをステージで発表する会だとか。」
マコ「得意なこと…好きなこと…。私はまぁ、チャールダーシュかしら?」
麻衣「ほっか。北山は昔からチャールダーシュやってただっけ?」
眞澄「最近はなんか流行ってるもんね。」
真亜子「確かに…」
そこへ、後藤、小平も来る。
後藤「何かめんどくせ、俺発表するこんなんてねぇーよ。」
小平「おいおい、秀はつれないなぁ。俺はもう決めてあるよ。」
後藤「小平、お前もかっ!!」
千里「ブルータスっ、お前もかっ!!」
迫真の演技をするが我に帰ると真っ赤になって下を向く。
麻衣「せんちゃんは?」
千里「ぼ、僕っ?」
おどおど。
千里「僕は…無理だよっ!!絶対にいやっ!!」
後藤「いいじゃん?お前は又、女装でもして?源チサとしてステージに出れば。それだけでも充分にパフォーマンスになるぜ?」
小平「んだんだ、それ言えてる。」
千里「いや、絶対にいやだっ!!」
眞澄「それでぇ?ピアノ弾く?チーちゃんピアノ得意だし。」
マコ「それとも私と一緒に踊るとか?教えてあげるわよ、チャールダーシュ。」
真亜子「それとも、女性もののレオタードでバレエ?あんた確かバレエやってるんでしょ?」
千里「…。」
俯いてモジモジと泣き出しそう。
麻衣「やめなみんなっ!!彼、泣いちゃったじゃないの!!」
千里「僕は…僕には…」
教室を飛び出ていく。