石楠花物語小学校時代

□小4時代
1ページ/15ページ

『石楠花物語小4時代』

⚪城南小学校前・校門
   小学四年生が全員集まっている。金子一恵と小口千里

金子先生「それでは、出発の説明をする前に今日から新しく2部に加わることになります、転校生を紹介致します。では、小口君、自己紹介をして。」
千里「はいっ。京都、京都市から参りました小口千里です。みんな今日から仲良くしてください。宜しくお願いします。」
金子先生「はい、では小口君、君はね…」

   千里に指示。千里、言われた通りの場所に加わる。後藤秀明、小平海里、永田眞澄、北山マコ、鈴木真亜子、微笑む。

後藤「よ、俺、後藤秀明。」
小平「俺、小平海里。仲良くしよ。」
千里「僕、小口千里です。宜しく。」

   弱々しく微笑む。

眞澄「あんた本当に男?男の癖に偉い控えめね。」
千里「君は?」
眞澄「永田眞澄ってんの。」
マコ「ふーん、あんた京都から来たのね…こっちの事全く分からないでしょ?」
千里「うん…」
マコ「いいわ、今日はこれから長野旅行だから私達が色々と教えてあげる。」
千里「ありがとう…」
マコ「私は北山マコ、」
真亜子「私は、名前似てるけど、鈴木真亜子。宜しくね。」
千里「うん、こちらこそ。」
金子先生「みんなぁ、あなたたち何よそ見してるの?今は先生の説明をちゃんとお聞きなさい。」

   6人、前を向き直る。


⚪バスの中
   千里はマコと並んで最前列に乗る。窓際。千里はワクワクと頬を踊らせている。

マコ「何か困ったことがあったらいつでも言ってよね。」
千里「うん。」

   バスは出発する。


⚪宮川長峰小学校前
  四年生がバスに乗り込む。柳平麻衣は最前列の窓際。田中磨子と並んで座っている

磨子「ねぇ麻衣ちゃん、いよいよね。」
麻衣「えぇ!!」
磨子「気持ち悪くなったり何かあったらすぐに言ってね。」
麻衣「ありがとう、磨子ちゃんもな。」
磨子「うん、でも私は大丈夫よ…でも、あーあ…」

   退屈。

磨子「つまんないの、去年までずっと一緒だったあのちびが今年はいないなんてさ…」
麻衣「健司のこん?」
磨子「そーさやぁ、そいつしかおらんらに!!あいつ結構、苛め概があったのに…」
麻衣「こらっ!!」

   二人、クスクス。

麻衣「でも原村だだもん、すぐに会える距離だだに。ほれに健司も、又私達と遊ぶっつっとったに。」
磨子「そうね。コスモス湖岸で又あったときに思う存分弄ってやろっと!!」

   後ろには横井哲仁、吉岡末子が乗っている。

横井「ほーだほーだ、あんなやつどんどん苛めて泣かせてやれ!!」
末子「そんなこといっててつ、あんた健司がかわいくてしょーがないんでしょ?」
横井「うっせー!ただあいつが男の癖に弱虫で泣き虫だもんで鍛えてやるんだよ!!」


   原小の岩波健司、くしゃみをする。

健司(嫌だな…風邪かなぁ…。)



   宮坂康恵先生、前に出てくる。

宮坂先生「それではみなさん、高速道路に入ります。カラオケ大会でも始めますか?」

   クラスメート大盛り上がり


⚪城南諏訪小のバス
   高速道路。カラオケが行われている。

全員『♪愉快な五人の家族が揃って…』

   千里、歌いながら少しずつ切なそうな表情

千里(ママ…僕本当はすごく不安だよ…怖いよ…)

   涙が溢れて溢れる

千里(京都の学校へ帰りたいよぉ…)

   俯く。マコ、ちらりと千里を見る。

マコ「千里くん?」
千里「…。」
マコ「千里くん、大丈夫?どうしたの?」

   手を挙げる

マコ「先生、宮坂先生、千里くんが泣いてます。」
金子先生「千里くん?どうしたの?大丈夫?」

   千里、泣いたまま

金子先生「千里君?」
眞澄「先生、私とマコちゃん、席を交代してもいいですか?」
マコ「私もそれがいいと思います。眞澄ちゃんの方が…」
金子先生「分かりました。」 

   マコ、眞澄と席を交代する。

眞澄「千里くんよね、」

   微笑みかける

眞澄「私、永田眞澄ってんの。あんたは、千里くん。だから今日から私、あんたのことチーちゃんって呼ぶわ。」

   変顔などをして必死に笑わせようとしている

眞澄「ほら、この私の財布、臭い嗅いでみてよ、醤油臭い。」
千里「本当だ…」

   弱々しく微笑む。

千里「眞澄ちゃん…ありがとう。」
眞澄「良かった、チーちゃんやっと笑顔になった。」


⚪姨捨SA
   宮川長峰小学校のバスと城南諏訪小学校のバスが止まる。

麻衣「あー、私、トイレトイレ!凄いトイレ行きたかったぁ。」

   照れて頭をかく

麻衣「いやぁ、水筒のお茶飲みすぎちゃった。」

   水筒を降る

麻衣「お昼の分、へーないや。」
磨子「私も、トイレ行きたい。麻衣ちゃん、一緒に行こ。」
麻衣「えぇっ!」

   二人、トイレに走っていく。


   後藤、小平、眞澄、マコ、真亜子もバスを降り始める。

眞澄「あれ、チーちゃん、君は?降りないの?」
真亜子「おしっこは?」
千里「うーん、今はあまり行きたくないな…」
後藤「そうか?ここで済ましておいた方がいいぜ。」
小平「当分行かれなくなるかも。」
千里「え、そうなの?じゃあ僕も行く…」

   6人でぞろぞろとトイレへと向かう。


⚪バスの中
   麻衣たち、千里たち、其々にわいわいとしている。千里の機嫌はすっかりと直って笑顔で打ち解けている。


⚪長野県庁・建物内
   宮川長峰小学校が見学をしながら話を聞いている。

磨子「…つまらな…」
麻衣「私もそう思う…」
横井「俺も、」
末子「私もよ、」

   四人、クスクスとしながらメモを取っている


   麻衣たちが見学を終えると、入れ替わりに千里たちの学校が入ってくる。同じ様に見学をして話を聞きながらメモを取っている。

マコ(全く、こんなとこ、一体何のために来るのかしら?)
眞澄(つまらない…)
真亜子(広いなぁ…)

   千里は不安そうな表情挙動不審にキョロキョロ

千里(何か又トイレ行きたいな…ここのトイレは使えないのかな…)


   メンバー、見学にくるくると歩き回っている。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ