石楠花物語小学校時代
□小1時代
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⚪小口家・和室
千里、猛勉強を泣く泣くしている。小口が教えている。
小口「違うっ!!何度言ったら分かるんだ!?そこはそうじゃないだろうに!!」
千里「だって分からないものは分からないんだもんぅ、しょうがないじゃんかぁ!!」
しくしくと泣き出す。
小口「泣いたっていけんぞ。ほら、ここまで終わるまでやるぞ、いいか?分かったな?」
千里「うぇーんっ…」
半泣きでしごかれている。
⚪同・トイレ
数時間後。千里がへなへなとして疲れたように入ってきて用を足し始める。
千里「はぁ…」
やれやれ
千里「何で僕って…男の子に生まれちゃったのかな…。もし女の子だったらきっと、ここまでガミガミと怒られたり厳しくされなんだろうに…。きっと、こんな粗末じゃなくてもっと優しく扱ってくれた筈だよな…。あ!」
用を足し終わるとそのまま便座に腰を下ろす。
千里「僕の将来の夢だ…叶いっ子ないけどさ…フフフ、」
ニヤリ
千里「一度でもいいから女の子になってみたいわんっ!!」
流してからルンルンとトイレを出る。
(トイレの外)
千草がいる。
千里「あ、千草オッパ。」
千草「千里、何やってたんだ?トイレ長すぎだろ?」
千里「あらぁんっ、ごめんなさいぃ。」
鼻唄混じりに手を洗い出す。
千草「何だあいつは?…変なの…気持ち悪いっ…。」
首をかしげながらトイレへと入る。
千草「ん?」
蓋の閉まった便座を見る。
千草「あいつ…急に…どうした?何があったんだ?」
トイレットロールの端が綺麗に三角に折られている。千草、寒気を感じる。
⚪同・お風呂場
千里、千草。
千里「ねぇ、千草オッパぁ。」
千草「何?」
千里「僕ってさ…どうしたらぁ…」
もじもじと口ごもる
千里「どうしたら、」
意を決して
千里「女の子になれるの?」
千草、思いっきり吹き出す。
千草「な、な、な、何言い出すんだよ、お前いきなり!!」
千里「僕本気で悩んでるんだ!!一日でもいいから僕、女の子になってみたいんだよ!!」
千草「は…はぁ…」
⚪柳平家・お風呂場
麻衣、一人。
麻衣「あーあ、どいで私って女の子に生まれたんかなぁ?男なら良かっただになぁ…」
水で遊びながら
麻衣「一度でもいいで男になってみたいもんだぜ…」
一人会話
麻衣「ほいだってさ、スポーツも抜群だと思うし、それに何しろ…」
小窓を開けて震え上がる
麻衣「この寒い冬なんて特にほー。男の子ならお手洗い幾度にほーは言っても然程寒い想いはしなくて済むら?ほれに、すぐおしっこ出来るし、お外で何処でも立ちしょんなるものが出来てって…」
紅くなる
麻衣「いやんっ、どいでほーいう発想になるんよぉ!!このぉ、まいぴうのエッチ!!」
浴槽でふざけて滑る。
麻衣「うわぁっ!!」
再び頭を出す。
麻衣「ビックリしたぁ!!んもぉ、こい時に何かと男の子の方がいいんよ!!」
麻衣、千里「いつしかこの願いが一日でもいいから、どうか叶いますように…。」
⚪宮川長峰小学校・校門
新学期
麻衣【ほんなこんなで装甲しているうちに、私は小学校2年生になってしまいました。勿論…今でも女の子のまんまで…あーあ…せめて鉄棒のテストだけは男の子になりたいな…ほれと冬場だけでも…】
⚪京都の小学校・校門
千里【僕も結局、男の子のまんま2年生になってしまいました。相も変わらず…】
ため息
千里「今年も怒られてばっかりの一年なんだろうなぁ…しかも…」
憂鬱そうに顔をしかめる
千里【今年からは、大病にはかからないように…それ以外は何があっても学校に顔だけは出せ…つまり、出席して皆勤賞をとれというプレッシャーまで、ママにかけられているんだ…それだけでもどうにかなりそうなのに…テストで90以上をとれって…】
頭をかきむしる
千里「そんなの無茶だぁーっ!!!」
美代「千里ちゃんっ、」
微笑む。
美代「おはよう。」
千里「美代ちゃん、」
笑顔になる
千里「おはよう。」
美代「どうかしたの?一緒に教室へ行きましょう。」
千里「うんっ、…その前に僕おしっこ!!」
美代「美代も。」
二人、笑って仲良く校門を入っていく。
⚪宮川長峰小学校・教室
麻衣「はよーんっ!!」
健司「はよーんっ!!」
磨子「はよーんっ!!」
三人、微笑む。
健司「今日から2年生か…」
磨子「いよいよ私達もお兄さん、お姉さんね。」
麻衣「ほーね。だで今年も!!頑張らまいぴうっ!!」
三人、手を重ね合わせる。
麻衣、千里、健司、磨子は其々いる場所は違えども何処と無く不安げな表情の裏にも希望に輝いたキラキラとした顔をしている。