石楠花物語小学校時代
□小1時代
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⚪宮川長峰小学校・教室
千里同様、健司が泉平先生の隣で泣いている。
泉平先生「健司君、ここからお家が見えるの?」
健司君「あっち…。先生…」
者繰り上げながら
健司「おしっこ…」
泉平先生「おしっこ、一人で行ける?」
健司「…。」
泉平先生「なら先生と行こうか?」
健司を連れて出ていく。
磨子、鼻で笑う。
磨子「ふんっ、男の癖にあの泣き虫っ!!」
麻衣「やめなさいよぉ!!磨子ちゃん。」
磨子「私なら何したって泣かないわ。例え学校でおもらししちゃったとしても泣かないわ。それに、大体休み時間の内におしっこしておかないから授業中に行きたくなるのよ!!我慢しろってんだ!」
末子「でも健司君、我慢出来なかったのかも。」
磨子「ほんなの、我慢出来なくなるまで我慢する方が悪いのよ。」
横井「ふーん、ほれふんとぉーだな?」
磨子「何よ、私を疑ってんの?」
横井「ふんっ、女番長さんのおもらし、しかとこの目で見てみたいもんだぜ。」
磨子「何だってぇ?」
横井に食って掛かろうとするのを麻衣、末子が止めにはいる。
麻衣「やめてっ、やめなさいよ。磨子ちゃん、よしてったら!!」
(別の日)
漢字の書き取りの自習時間。
麻衣「ん?」
磨子、もじもじ。
麻衣「磨子ちゃん、どうしたの?」
磨子「何でもない、」
しかししっかりと勉強だけはしている。麻衣、小声
麻衣「ひょっとして…おしっこしたいの?」
磨子「ちょっとね。」
麻衣「ほいじゃあ、」
磨子「いいの、」
苦しそう
磨子「あんな大口切った手前、ほんな拍子の悪いこと出来ないわ。」
麻衣「でも…」
磨子「もらしちゃったら、そん時はそん時…」
書き取りを続ける。麻衣、心配そうに磨子を見ている。
横井「お、」
大声で
横井「田中磨子が小便行きたいぞ!!我慢してるぞ!!」
笑う。
横井「この間お前、大口切ってたよな?忘れたか?」
磨子「先生いないからって調子に乗るんじゃねぇーよ横井!!あぁ、覚えてる、ちゃんと覚えてるよ。」
手を振る。
磨子「気が散るから静かにしな、授業中だよ。」
横井「相変わらず…緊急事態の様なのによぉ、気の強い女だぜ。」
数分後、全員、磨子に注目。麻衣は心配そうに顔をしかめ、健司は驚いて目をパチパチ。
麻衣「磨子ちゃん…大丈夫…?」
磨子「大丈夫、大丈夫、」
あっけらかんとした顔をしている。
麻衣「先生、呼ぶか?」
磨子「いい、大丈夫だに麻衣ちゃん、」
立ち上がって見渡す。
磨子「おいっ、男共、何じろじろ人んとこ見てるんだよ!!女の子のおもらし見物するだなんて…何て最低なやつっ!!」
シーン
磨子「何やってんだよ!!あんたら、」
おもらしを指差す、
磨子「さっさと片付けな!!」
健司もビクビクしながらポカーンとする。
磨子は着替えをとってきて、堂々と着替え出す。男子、ポカーンとしながら従わざるを得なくなり、おもらしを片付け出す。
(給食時間)
麻衣「でも磨子ちゃん…強がらなくてもいいだに…」
磨子「強がり?誰が?」
笑う。
磨子「誰も強がってないよ。あー、楽しかった!!あの男共の顔…」
健司「まさかっ、お前…」
磨子、あっけらかんと。
磨子「ほ、ほのまさか。この私たるものがふんとぉーにすると思う?」
鼻で笑う。
磨子「わざとよ、わざと。」
麻衣「んまぁ、呆れた!!」
磨子「健司、あんたも泣いてばかりいないでこれくらい出来なくちゃダメよ!!女が泣かないで男が泣くなんて…」
健司「ほりゃ、僕が弱いんじゃなくてお前が強すぎんだろうに…」
磨子、健司にグリグリ。
健司「痛いっ、痛いっ、痛いってばあ!!」
全て平らげる
泉平先生「それでは本日は、魚のチーズ焼きが二つ残っていますので、食べたい人…」
健司「はいはいはいはいはーいっ!!」
数名の人が手をあげ、じゃんけん。
にこにこしながら健司が貰ってくる。
麻衣【と、とてもいい出だしで私たちの一年生は平穏に素敵な年として終わるかと思っていましたが…】
⚪同・校庭
麻衣、磨子、健司が遊びながら帰っていく。麻衣と健司、磨子は意図も簡単に鞄を背負ったまま木に上る。磨子、麻衣は割りと高い木の枝から飛び降り、健司も飛び降りる。
健司「ううぅっ、」
麻衣「健司?どーしただ?」
健司「腕痛いよぉ!!痛いよぉ!!」
泣き出す。
健司「お母さんーっ、痛いよぉ!!」
磨子「どうしたのよちょっとっ、」
麻衣、健司の鞄を持つ。
麻衣「いいに、これは私があんたの家まで持ってくで…」
健司は泣きながら、麻衣と磨子は其々に健司の荷物を持ちながら歩いていく。
⚪岩波家
幸恵が出てくる。
幸恵「あら健司、お帰り…ちょっと一体どうしたの?」
麻衣と磨子を見る
幸恵「何かあったの?」
麻衣「健司くん、木から落ちて怪我しちゃったみたいなんです。」
磨子「さっきからずっと腕が痛いって…」
幸恵「分かったわ、ありがとう…健司、とりあえず中に入りなさいっ、」
泣く健司を抱くように家の中に入れる。
麻衣「健司、どーしちまっただら?」
磨子「さぁ…ね。」
二人、喋りながらならんで歩いていく。