夢小説

□ポオ×乱
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気がつくとそこは──────

「…ぅあ……あれ?」

ようやく目と頭が冴えてきた。

(さっきまで何してたっけ…)

今は木製のベッドに寝ている…いや、繋がれている。

「やっ…何これ!?」

ジタジタと暴れてみても緩みもしないほど強く拘束された手首。

「…お目覚め、…かな?」

枕元にゆらりと立ち上がる影。

そしてパタン、と読んでいた本を閉じた。

「…僕に何するつもり?」

率直に質問を投げ掛ける。

「…君から恨みを買う覚えはないはずなんだけど。」

(…だめだ、まだ完全に思考が回復していない。)


(そもそもさっき何をしていたかさえ、)

「君はさっき吾輩がだした紅茶を飲みほした」
と、唐突にポオが口を開いた。

「《超推理》どんな事件や物事の真相を見抜く異能を持つ君が何故、…睡眠薬の混入を見抜けなかったのかい?」

(そんなの…)
「そんなの、君が「五月蝿い……」」

ダンッと本を叩きつけポオが怒鳴った。

「君が、君さえ居なければ!!」
(君がなんと言おうと手遅れだ。)


「吾輩がどんなに苦しいか!他人に媚を売り頭を下げる毎日!!!」

(お、怒ってる…??)
金切り声を上げ怒鳴り散らすポオ。

「そ、そんなの謝らなければいいじゃないか!」

「そんな事をすれば今の君のようになるのだよ!!
…みんな…みんな離れていくだろう。」

「…っ…!!」

何も言い返せない、
確かに僕は自由奔放、良くいえば天真爛漫。
悪くいえば───────我が儘。

「吾輩はひとり…独りぼっち…じゃないか。」

何故だろう。さっきまで怒鳴り散らして怖かったはずの人間が酷く…可哀相に見えた。

うまく言葉では伝えられないかもしれない。でも、

「僕には福沢さんがいる。君にだって「もう沢山だ!!」」

懐から西洋のナイフを取り出し一瞬で乱歩の首筋にピタリとあてがった。

「吾輩は殺したいほど君が憎い。」

でも、

「でも、それと同時に…壊してしまうほどに愛おしいんだ。」

「…私は…、一体どうすれば…」

震えた声で助けを乞う。
涙が、涙が止まらない。

「…ねぇポオくん、」

「…ふぇ…??」

「何で僕が睡眠薬入りの紅茶を口にしたか分かる?」

「そんなの、気づかなかったんじゃ…」

「こうでもしなきゃ君は聞く耳を持たないでしょ。」

ふふ、と微笑しながら乱歩はポオを宥めた。

「君には僕がいるでしょ。」

「君の事が心配だから定期的に会いに来てあげてるんだし、そもそも僕が自ら望んで人に会うなんてほんっっとに珍しいことなんだから!!」

「(ら、乱歩くん……、)」

「ごめん!ごめんなさいぃ!」

慌てて結びつけた縄を解きながら謝った。

「もう!これ結構痛かったんだから!」


「も、…もうしないから許してぇぇ…。




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