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□バレンタイン
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今日は女の子にとって特別な日。

私も例外じゃないわけで。

「なあ」

「なんや」

「さやかに甘いものあげる」

「はあ?」
「私がそういうの苦手なん知ってるやろ」

「んじゃあ、他の人にあげるわ」

「……別に貰わんとは言ってへん」

「ほしいん?」

ムッとした表情が私をみあげる。

「はやく寄こせや」

「可愛くないからあげへん」

「はあ?」
「くれるいうたのそっちやろ」

「ほしいんやったらあげる」

私の方に伸ばしていた手をひっこめる。

「別にいらへんし」

「やったら他の人にあげるわ」

「……それはあかんやろ」

「さやかはいらんのやからええやん」

「私のとちゃうんか?」

バッグを持つと、さやかに背中を向け部屋をでる。

「おい」

焦ってるかな?

少しの間を置いて追ってくる足音がした。

「美優紀」

「どうしたん」

「チョコくれるんやろ」

「あげへん」

チョコなんて用意していない。

「甘いものほしいん?」

「……ほしい」

「それやったらあげるな」

特別に甘い。

「どうぞ」

「なんや」
「まだ焦らすんか」

「私って甘いやろ?」

意味を理解したのか、みるみるうちに
顔が赤くなっていく。

「さやかにあげる」

「貰っておきますけど」

「さやか耳まで真っ赤」

「誰のせいや」

トッピングは何にしよう。

「実は今」
「下着つけてないねん」

「さやかにはやく食べてほしくって」

明らかに動揺してる姿に頬がゆるむ。

「アホか」

ふいに抱き寄せられ、唇が触れる。

「家に帰ったらじっくり味わうわ」

「そんないうて」
「どこ触ってるん」

「人居らへんし」

「えっち」

服の下から手を入れれば一発でばれる。

「下着つけてるやん」

「普通つけてるやろ」

「家帰ったらおぼえとけよ」

拍子抜けしたように笑うと、さやかが私の手を握る。

ハッピーバレンタイン。

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