おそ松さん
□いえないよ
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「一松?」
どきり、冷や汗が伝う。
「...何。」
素っ気なく、声を漏らすとカラ松は「あ、いや...」と言葉を濁す。
「何もないなら、呼ばないで」
そう言って、二階に上がる。
なんでだ、なんでなの。名前を呼ばれただけでドキドキしちゃうなんて僕末期過ぎない?
素直になろう、僕はカラ松が好きだ。
そのせいで、何故か冷たく接してしまう。
素直には、一切なれない。想いなんて伝えることすら出来ない。
「はぁ...」どうすればいいの?と自問自答をする。
素直になればいい?...なれない。
そんなものそこらのゲームより無理ゲーだ。
行動で表せ?...そんなの殴ることしか出来ない。暴力、暴言しか出ないとか...ほんっと僕ってクズ。
僕は、ノンケだったハズなんだ。
いつからか、あいつに恋心を抱いてしまう。
他の男なんかにそんなことはならないのに。
高校に入って、カラ松は演劇部に入った。
家族だった僕も偶に見に行っていて、その頃はまだ素直になれていた。
ある日、(題名は忘れたけど)劇に来ないかとカラ松に言われた。
僕は、二つ返事で見に行った。
『お前を一生守り続けると約束しよう』
とあるオヒメサマ役の子に言ったセリフが忘れられない。
あの声.表情全てが忘れられないんだ。