RPG

□スマ●ラしようぜ
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「まめのん、スマ●ラしよ♡」
Wiiのリモコンを握りしめながら藍斗がゲームに誘ってくる。
本を読んでいた途中だったこともあり、へいへいと生返事をしながらリモコンを受け取る。
読みかけの本に栞を挟んでいる間に藍斗は機械にソフトをセットしてゲームを始める準備をしていた。
長い間、本を読んでいたせいで目が霞む。
眼鏡を外して目を休めていると、ぼやぼやしている視界の中でもハッキリ分かるくらい近いところに藍斗の顔がある。
「近い。」
「近づけてんの。」
当ててんのよ、みたいなテンションで言わないで。面白いから。
早くやろーと急かしてくる藍斗を見てると悩みとか無いんじゃないかな、とも思う。

「何のキャラ使う?」
僕が聞くと藍斗はアイク!と即答する。使いやすいんだよなアイク。
さてと、本当に誰を使おうかな。
選択画面で使用キャラを選んでいるとゲームウォッチのアイコンがピカピカと光っていることに気づいた。
「あーくん、これ何?」
「うお、なあにこれ!初めてみた。」
咥えていたチュッパチャプスを落としそうなくらい驚く顔を見ると、本当に初めて見るようだ。
「ちょっと動画撮ってあいつらに送っていい?ゲームばっかしてるから何か知ってるかも!」
あいつらってのは裏雅狂汰と立花赭山のことだ。2人で家で遊んではゲームばかりしている。
LINEで動画を送ってもらって返事がくるまで僕らはゲームを進めずに置いておくことにした。
「面白いこともあるんだね」
そんなことをしみじみ言うと藍斗の返事が無い。何やら真剣にLINEでやり取りしているようだ。
しばらくするとひと段落ついたのか、顔をあげてこんなことを言い出した。
「きょーちゃん曰く最近、某掲示板で噂になってる現象なんだって」
藍斗が言うにはここ数ヶ月前から噂になり始めた現象らしく、その光るゲームウォッチを使用したユーザーは何でも願いが叶うとかなんとからしい。
実際、宝くじが当たったなんてこともあるらしい。本当かよ。
「で、それ見たいからあいつらココに来るってー。」
「んじゃ待とうか。」

30分くらい待つと家の前で自転車を停める音がした。
玄関を開けるとニヨニヨした狂汰と無理やり連れてこられた感のある赭山が立っていた。

「ゲームウォッチの話、ほんま?」
赭山が尋ねてくる。
「本当!まあ上がってよー。」
ドカドカと2人を連れて部屋に戻ってくると藍斗がセクシーポーズで寝転んでいた。
「ようこそ♡」
「本当そういうのいいから。」
ビシッと突っ込みを忘れずに入れる。
どれどれ...と覗き込む狂汰。
「いやん!ほんまやん!!!」
狂汰と赭山がモニターに映し出されている光るゲームウォッチを見つけて興奮している。
「何でもお願いこと聞いてくれるんだよね。」
僕が確認すると赭山が頷く。
「チョコパイ100年分欲しいとか。」
「しゃおきゅんにドエロいコトしたいとか。」
赭山にすごい速さで関節技決められる狂汰がいたのは言うまでもない。

「とりあえずこれ豆野が選択したら?俺もうアイク選択してるし。」
「僕たいした願い事なんてないよ。」
「まぁ、デマの可能性のが大きいでしょ。」
とにかく藍斗は早く遊びたいらしい。
赭山はスマホで動画撮ってる。本人曰くyout●beに上げたら再生数伸びるから、とのことらしい。
「じゃー行くよ?」
ロード中になり、いつも通りのゲーム画面が繰り広げられると思いきや砂あらしが映し出さる。
ええ、まさか壊れたんじゃないだろうな。
光るゲームウォッチはゲームのバグか
何かだったのか。
「あーくん、ごめん、これ壊れたかも。」
『あーくん?』
「へ?」
僕の右横から尋ねる女性の声がした。
部屋には男4人しか居ないんだけど。
と、ここで僕は部屋に居ないことに気がついた。
みんなもいない。
眼前に広がるのは幻想的な湖と大量の鈴蘭の花。
「えっと...?」
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