短編小説

□ネバーランド
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私は今年受験生だ。
夢も無いし特にやりたいこともない
退屈な人生だ。
幼い頃に両親を亡くした私は、親戚に引き取られた。
ただ、新しい家族が喜んでくれるから勉強して良い学校へ入る

なんて優等生なの。

でも、そうしないと必要とされないから…
でも本当は私なんて要らないのよね。



「ネバーランド」



前に聞いてしまった
彼らが私の悪口を言っているのを。
まあそれを聞かなくてもはじめから分かっていた。
だって私だけいつもご飯が少量の白米と1つの梅干しだもの。笑っちゃうわ
私はいつもバイトして稼いだお金でお菓子を買って、お腹が空いたら食べていた。

可哀想な子。


学校もつまらない
友達もいない。
どうしてみんな笑ってるの?
この世は汚れたことで溢れてるのに。
私は1人浮いていた

馴染めないのね。

小さい頃は夢があった。
お花屋さんになること
毎日楽しい夢を語っては、両親と笑いあっていた。
あの頃は楽しかったなぁ
毎日が楽しいことでいっぱい。

冷え切った偽物の家族が出来て、大人に近づくにつれて、その明るい世界はくすんでいった。
どうせ無理、できない、不可能、やっても無駄、お金が掛かる。
明るい世界なんてなかった
それは少しずつ私の心をドロドロと包み込んだ。

ああ、息が苦しいわ。

ふと昔好きだったピーターパンの話を思い出した。
母がよく私に読み聞かせてくれたりもしたっけ。
彼はネバーランドという子供しか行けない場所にいる
私はまだ行ける歳だろうか?
あの少女と同い年くらいだろうから、大丈夫かな。
きっとネバーランドは光で溢れてる
行きたい
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