コウノドリ 長編 [大魔王様と研修医]
□研修医の苦悩
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36週の妊婦が一階ロビーで破水したとの連絡を受けて、私は現場に駆け付けた。
状態を見て、分娩室に着く前に生まれてしまうと判断し、付近に人が立ち入らないようにした上でその場で分娩することにした。
その場で無事に女の子を出産した。
良かったぁ!!
鴻鳥先生と小松さんと私で並んで医局に向かった。
小「今日はお手柄だったねぇ〜!!」
加江「いやぁ〜!!そんな!そんなっ!!」
サ「妊婦を思いやった、良い判断だったよ。
人がいる前の出産となると、お母さんも緊張しちゃうからね。」
小「下屋先生、最近患者さんに大人気だもんねぇ!
ご指名増えてるし〜!」
加江「それはっ!女医を希望する方が多いだけの話で、私なんて…。」
サ「いや、いいことだよ?
医者は、患者さんから学ぶことが、一番大事だからね。」
加江「はい!」
先輩二人に褒められて浮かれていると、前から四宮先生が来た。
小「し〜のりん!下屋先生、大活躍だったよ〜!」
四「…ああ、聞きました。それとその呼び方はやめてください。」
聞いてた?!もしかして、ほめてもらえるかも!!?
ほめてほめて〜〜〜!!!と期待に満ちた視線で四宮先生を見つめた。
四「…ハウス!!」
へっ?ハウス?何それ?
小「…確かに、今の下屋先生は、ご主人様に褒められたくてしっぽ振ってる犬みたいだったもんね。」
ああ、犬か…えっ?!!犬!!!?
四宮先生に反論しようとすると
「先生!下屋先生!!」
あ、21週の田中さんとそのご主人だ。
夫「女房の奴が、腹の具合が変だって…。」
妻「先生…私、破水したみたいです…。」
えっ?!!!なんで?!!!
私が動揺している間にも、他の三人で対処する。
サ「お母さんちょっとこちらで座わりましょうか。」
小「前期破水かな?」
四「下屋、車いす!…下屋!!!」
四宮先生の声に私は我に返り、急いで車いすを取りに走った。