コウノドリ 長編 [大魔王様と研修医]

□恐怖の大魔王様
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「下屋先生!救急搬送の依頼です!」


当直の夜、なかなかお産が進まない妊婦の経過を見ていると、看護師に呼び出された。



加江「通院歴がない…?」


受け入れお願いしますと言われても、未受診妊婦は感染症などのリスクが高い。

指導医に判断を仰ぎたいが、あいにく緊急帝王切開のためオペ中だ。

まだ当分そのオペは時間は掛かるだろうと判断し、今日のオンコールである医師に連絡した。



「どうした?」


加江「鴻鳥先生、救急搬送の依頼です。
週数は分かりません。一度も、産科の検診を受けたことがない妊婦さんなんです。
救急搬送、市内の病院2件に断られています。…どうしますか?」

サ「分かった、すぐ向かうよ。NICUに空きがあるか確認しといて。」



加江「他に搬送先見つかりませんか?新生児科の保育器がうちもいっぱいなんです。」

ちょうどその時、鴻鳥先生が戻ってきた。

サ「下屋、代わるよ。」


鴻鳥先生が電話を代わってくれた。


サ「分娩室…は空きがあるね。オペ室は?」

加江「四宮先生が緊急帝王切開に入ってます。」

サ「四宮がオペ室に入って50分…うん、よし行けるな。
分かりました。受け入れオッケーです。
すぐに搬送してくださーい。


下屋、オペ室に救急搬送のことを連絡して。
あと、麻酔科の先生にスタンバイ依頼ね。」


えーーーーっっっ!!!!!受け入れるの?!!!

っていうか、私がオペ室に連絡しに行くんですか…?!!


加江「鴻鳥先生!!未受診の妊婦ですよ!!
万一のことがあったら、他の妊婦さんたちに迷惑が掛かります!!」

サ「でも、生まれてくる赤ちゃんに、罪はないよ?」

そう言って鴻鳥先生はふんわり微笑む。


…うん、分かってる。分かってるんだけど…



そんなことしたら、大魔王様が降臨します…!!!


私は、とってもとっても嫌な予感しかしなかったが、急いでオペ室に走った。
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