僕のヒーローアカデミア


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自販機で水を何本か買って

一本は飲み

残りを自分の頭から掛けた

さっきの試合で暑くなっている頭を冷やす意味を込めて

「こんなところで水浴びか?」

背後から聞こえた声に

私は振り向かなかった

相「なにを苛立ってる」

『別に』

相「なんでゴーグルを付けてない」

『目立つから』

相「これ付けてろ」

首に何かがあたった

黄色いゴーグル

USJでの襲撃のせいで新しくされたはずだけど

相「俺の予備だ」

自分が持っているものより大きくて重い

というか包帯でグルグル巻きにされてるから

こういうの持てないんじゃ?

私を抱きしめようとする手には傷痕が残っているだけで

背中に温もりが伝う

相「俺から逃げるな」

『私は消太の治療を放棄して戦いに向かった』

相「それでいい 俺がそう言ったんだから
  その後治療してくれたおかげで
  ここまで回復した
  医者がお前を優秀だと褒めていたよ」

『当たり前だよ 前まで毎日のように
 銃弾取り除いて止血してグチャグチャの体を元に戻した
 まぁ化け物扱いされたけど
 それだけ私が強いから味方にとっては心強いものだったろうけど』

相「じゃあお前が次世代のオールマイトか」

含み笑いをした

相「お前がNo1なら心強いな」

腕の力を強めた消太

この2週間ほとんど目も合わさず言葉も交わしてなかったから

こういうスキンシップは久しぶりだ

相「反抗期は終わったか」

『終わった』

腕の中で体の向きを変えられて聞かれた私は

抱き付いてそれに答えた

相「一位なってこい」

『一位なったら?』

相「一緒に出掛けるか 明日休みだし」

『一緒に家でゴロゴロ』

相「分かった」

私の頭を撫でた消太の眼の下には

やっぱり傷痕が残っていた

手を伸ばしてそれを撫でる

相「お前を守れた勲章だ」

その言葉に涙が出そうになる

私に視線を合わせた消太の傷痕に唇を落とした

消太から離れて最後の一本を飲み干す

準決勝が始まるのか

マイク先生が叫んでるのが聞こえる

相「ほら 行って来い」

『行ってきます』

消太に背中を押されてフィールドに出る

マ《準決勝!
  最初の組はコイツらだァ!!

  可愛い顔して未だに個性を使わず順調に駒を進め
  圧倒的な力さを示す特待生!!

  氷水気主人公の名前 !!

  VS

  さっきは大規模な爆発と圧倒的な力を示した

  轟焦凍!!

  どちらもトップを誇る実力!

  勝つのはどちらだ!!

  レディーーーー

  START!!》


私が体術ばかりを使っていたからか

いきなり大規模な氷塊を作る轟くん

炎を使う気が無いのか?

覇王色を纏った足で迫って来た氷塊を蹴り砕く

轟「まだ個性使わねぇ気か」

『そうだね そこまでの実力を轟くんは持っていないから』

轟「そうかよ」

苛立ったような轟くん

怒りをぶつけるかのように

氷塊を出した

緑谷SIDE

フィールドに立つ主人公の名前ちゃんは

無表情で

普段見せてくれる笑顔は影を潜めていた

前教えて貰った弱点

火炎系の個性

彼女が今戦ってる相手である轟くんも

彼女が苦手とする相手だ

そのはずなのに主人公の名前ちゃんはそこまで身構えていない

策があるのかな?

緑谷SIDE END

『うんとても涼しくて快適だ』

氷塊を出しては砕いてを繰り返した私にとっては

氷で埋め尽くされたこのフィールドは

快適な空間だ

マ《見ていて寒ぃぞ!!》

『同じ系統の個性として能力の使い方を教えてあげようか』

そう言った私を見た轟くんの体には

霜が降りていた

まだ左を使いたくないらしい

体操服の前を広げて

体を外気にさらす

マ《セクシーショットかぁーウグっ!!?》

『氷っていうのはね こう使うんだよ』

近くの氷の塊に触れて個性を発動させる

氷が命を持ったように動き始め

次第にかたちを変えていく

マ《ななんだアリャ!!?》

フィールドの氷全てを使って出来たのはドラゴン

轟「ちっ」

小さく舌打ちをした轟くんが左側を燃えさせる

『そう来なくっちゃね』

ノーアクションのままドラゴンを轟くんに向けて

素早く突っ込ませる

もちろん燃えるものの中に氷をツッコめば

氷が負ける

それに

マ《再び大爆発!!》

爆発が起きる

それに備えて体を低くしていた私にそこまで熱風は来ない

『楽しくなってきた』

爆発の蒸気が消えて

轟くんが立ったままなのを見て口角が上がった気がした

低姿勢のまま轟くんに向かって進む

所詮速攻だ

反応した轟くんだが

私のスピードにはついて来れていない

踵落としをして沈んだ体

私の足を捕まえて凍らせたけど

それに気を取られず

ただ逆の足で轟くんの横っ腹を蹴り上げた

轟「ゴフッ」

衝撃で離れた手

轟くんはまだ場内だ

マ《今の一発はキチィぞ!!》

せき込む轟くんを見る

もう終わりにしていいだろうと思うけど

轟くんの目がまだ死んでないんだよね

轟「まだだ」

私に向かって駆けて来る轟くんの左側は炎に包まれていた

『そう来なくっちゃ』

私に伸ばした手をいなしてその勢いを利用して

轟「ガッ」

背負い投げをした

体操服が少し焦げたし

肌が熱い

火傷したか?

まぁいいや

痛い所を手で撫でる

すぐに痛みが取れて元に戻った

痛そうに轟くんが立ち上がるのを見る

さてどうしよう

これ以上やってしまったらブーイングが起こりそうなんだけど

“傷めつけやがって”って

『そろそろ終わりにしよっか』

駆け出し

轟くんの右側を掴み外に投げ飛ばした

抵抗したらしいけど

地面ではなく上空に飛ばしたからか

抵抗する術もなく場外に投げ飛ばされてくれた

あれだよね

『イチアクションごとに地面触れてるんだから
 地面触れさせなければ勝てるんだね』

その言葉は

場外で倒れた轟くんには届かなかった

ミ「轟くん場外!!よって氷水気さんが決勝進出!!」

マ《轟をのして上がったのはまさかまさかの
  我らのアイドルである氷水気ちゃんだぁー!!》

フィールドが歓声に包まれる

そして

私が会場を出て控室に入る

決勝進出者だけが使える控室

しかし扉を開けた瞬間に殺気を背後から向けられ

反射で振り向きざまに殴りかかったが

そこには誰もおらず

代りに背後から殴られてしまった

すぐ背後には壁しかない筈なのに

私の意識はすぐに真っ暗に染まった











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