僕のヒーローアカデミア


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緑「『ありがとうございましたー』」

緑「すごいね氷水気さんは」

『・・・・・・・・』

緑「氷水気さん?」

『あぁ私か』

ホントに苗字は呼ばれ慣れない

緑「ホントに苗字で呼ばれるの慣れてないんだね」

『今まで施設暮らしだったから苗字が無くてね』

緑「じゃあ特待生!!?」

『そうそう』

緑「だから相澤先生は氷水気さんのこと
  “一位じゃなかったら退学”なんて言ってたんだね」

『そうそう 試験であろうと訓練であろうと
 一位じゃなければ特待生は終わりだから』

緑「でもその分優秀な人が多いって聞くよ」

『そういえば今まで無個性だったってホント?』

唐突に思い出して緑谷くんに話をフル

勝己くんが言っていたのが凄く気になったから

小さく頷いたのを見て

なんとなく触れないでって言ってるように見えた

『緑谷くんは幸せ者だね』

不思議そうな顔を向けてくる緑谷くん

だってそうだろ

『施設には無個性だから捨てられた子供が多くいた
 親の事情で育てられなくて施設に預けられた子供は
 個性が有りさえすれば誰かに引き取ってもらえたから』

その言葉にショックを受けたように

目を見開いた

『無個性でも家族と一緒に暮らせているなんて
 幸せす者だ』

国立の児童養護施設

ほかの児童養護施設でもだろうけど

施設に居るのは無個性の子が多い

私が誰にも引き取られなかったのは

“A級危険人物”という認識で

国が誰かに引き取られることを拒んだからだ

いつも園長が私を鞭で叩きながら零したのを覚えてる

『あぁ暗くならないでよ
 私はただ君は幸せ者だと言ってるだけだよ
 もし今までいじめられていたとしても
 家族がいたことを感謝して欲しい
 私からのお願い』

私の言葉に強く頷いた緑谷くんに微笑む

いい子や

緑「そういえばひす・・・主人公の名前ちゃんの個性って水?」

『だと思うけど 施設に居ると個性の診断テストとか
 個性届なんてしたことないから詳しくは分からないけど
 とりあえず水を操れるよ』

緑「水を操るって個性で治癒にも長けてるなんて
  水だったら移動にも使えるし攻撃も多種多様
  救助にだって実用的だ
  体を水に変えれるってことは
  災害時に隙間に潜り込むことは可能だし
  水難事故なんて一番適しているし
  火災現場なんて消火活動も手伝えて保護も可能に・・・・」

ブツブツとつぶやき始めた緑谷くんにちょっと引いた

でも

私の個性把握テストだけで

ここまで使用用途を考えられるなんてすごいよ

普段からそういう事を見てる人だからこそ出来る事かな

ブツブツと未だに私の個性について解析してる

緑谷くんを道に迷わないように誘導しながら

更衣室に辿り着いた

緑谷くんは未だブツブツと言いながら男子更衣室に

それを見送って女子更衣室に入った

着替え終わって更衣室を出たら

緑谷くんが待ってた

緑「さっきはゴメン ついクセなんだ」

『いいと思うよそういう観察が出来るのも
 一心不乱に考えることが出来るのも』

緑「ありがとう」

頬を緩めて照れたような笑いをする緑谷くん

うん

可愛いなぁ

緑「そういえばかっちゃんと仲が良いの?」

『かっちゃん・・・・?』

緑「かっちゃんっていうのはえっと爆豪勝己くんの事で」

勝己くんってかっちゃんって呼ばれてるんだ

勝己くん呼び嫌がられてるから次からそう呼ぼうかな?

『勝己くんとは10年前に一度だけ会って友達になったんだよ』

緑「10年前!そんな前に!?しかも一度だけ!?」

驚くのも無理ないよね

てか普通忘れる筈なんだけどね

まぁこの派手な髪に感謝しなきゃなんだろうけど

『10年ってやっぱ長いよね
 あんなに可愛かった勝己くんが
 不良になってしまうなんて・・・』

私の呟きに苦笑いを返す緑谷くん

『まぁ声変わりしてカッコイイ声になってたし
 身長も大きくなってたし
 筋肉ついて男らしくなったっていうか
 イケメンになってたけど
 けど!
 あの口の悪さに目付きの悪さはいただけないよー』

緑「ホントかっちゃんのこと好きだね」

『一度しか会ってないけど友達だからね
 私としては親友って言いたいけど
 勝己くんが勝己くん呼び許してくれない』

緑「名前で呼んであげればいいんじゃないかな?」

『あ、名前で思い出した緑谷くんの下の名前は?
 勝己が“デク”って言ってたけど』

緑「僕の名前は出久 “デク”はかっちゃんが付けたんだ」

『じゃあ出久だ 名前は初めて親からもらうプレゼントなのに
 バカにするなんて勝己くんは酷い奴だ』

あとで勝己くんの事イジリ倒してやろう

緑「ありがとう主人公の名前ちゃん」

嬉しそうな出久にどういたしましてと返して

丁度ついた教室に入る

もうやるべきことはやったのか

消太は居なくて

殆どの人は帰ったり帰る準備をしたりしていた

そんな中

机の上に足を置いて貧乏ゆすりをする人物が目に入る

私を見付けると

さらに貧乏ゆすりが激しくなった

私が素通りして席に着こうとしたら

手を掴まれた

個性のせいか少し温度の高い掌は

個性の特性上体温の低い私にしては毒だ

爆「おせぇ」

『ゴメン 分かったから手離して』

爆「あ?」

『私熱いの苦手なの』

理由が分かったのか手を離した彼

『で どうしたの?』

爆「別に」

何か理由があって私の事を待っていたと思ったけど

違うようだ

いや

『久しぶりだから話たかった?』

そのことばにさっきまで私を掴んでいた手が動いた

『あ そうだ かっちゃんと勝己と勝己くん
 どの呼び方がいい?』

いきなりの質問に

何言ってんだコイツ

みたいな顔で見られる

『3』

『2』

カウントダウを始めると

眉間に皺が寄った

『1』

爆「勝己でいい」

『じゃあかっちゃんね』

爆「勝己っつってんだろ!」

『だって出久のいうかっちゃん呼びが可愛かったから』

爆「デクのこと名前呼びかよ」

一瞬で拗ねた勝己に

すこし笑いが零れそうになる

ヤキモチなんてカワイイ

『私の親友の立場が不満なの?勝己は』

その言葉に少し表情を良くした勝己がわざとらしく

爆「最初っからそーいえばいーんだよ」

なんて言うから

ほんとかわいい

うん

10年前は普通に可愛かったけど

10年経ってツンデレという技術を身に付けた勝己

可愛すぎる

一緒に入って来た筈の出久が

いつの間にかいなくなってたのには驚いたけど

勝己と話せたからいっか

勝己が帰るのを見送って職員室に私は向かった

『私消太が先生だってことも担任だってことも
聞いてなかったんだけど』

相「言ってなかったんだから当然だろうが」

『ひざしも先生やってるとか言わないよね』

相「言う」

冗談で言った事が事実で

消太の事務机の横に膝を抱えて座って頭を乗せていたのに

顔を上げた

消太は未だ私を見ず

仕事を進めてる

書類仕事って大変だもんね

私もクザンさんがサボるから大変だったよ

『違う学校だよね?』

相「この学校だ」

だいたいの先生が揃う職員室を立ち上がって見渡す

似たような金髪の先生がいたけど

違う

『いないじゃん』

相「いる」

この場に居るというのか?

『ひざしイケメンだからすぐわかるし』

相「アイツがイケメン・・・?」

初めて手を止めて私をみた

まぁ

お前何言ってんの?

って顔だけど

『それより消太 個性把握テストで1位取ったんだから褒めてよ』

相「ん」

正直今は学校だからとか後でなとか言われると思ったのに

態々道具置いて私の頭撫でてくれるとは思わなかった

相「(クソかわいい)」

段々と頬が緩む主人公の名前をみて

ポーカーフェイスのままそんなことを思っていた相澤

山田に至っては“イケメン”という言葉に悶えていた

ちなみに相澤と山田の席は隣だ

相「仕事終わるまで待ってろ」

『教室で待っとこうか?』

相「・・・・・・ここに居ろ」

そう言うと椅子を出してきて

座っておけと言われた

朝読んでた本でも読もっかな

カバンを下に置いて本を読む

時々本から視線を外しては

仕事をする消太の横顔を眺めていた

相「なんだ」

私の視線に気付いた消太が顔を上げる

『カッコいいなぁって』

素直な感想だ

無精ひげにボサボサの髪

だけど

私にとっては一番のヒーローだから

動きの固まった消太に少し笑いながら

『カッコいいよ』

もう一度言って私はまた本に視線を戻した

あぁそういえばさっきから心配そうに私を見てくる

金髪の人は誰だろう

隣に座ってる金髪の人より髪は短いけど

触角っぽいのが下がってる

ガリガリの男の人

だけど

目はサファイアみたいに輝いていて

私と目が合ったら少し慌ててたけど

ニコリと笑った

あぁ思い出した

『あぁオールマイトか』

10年前に勝己の憧れていたヒーロー

私の呟きが聞こえたのか消太が

勢いよく私を見ると次にオールマイトを見た

オールマイトは慌てふためいていた

もちろん周りの先生達も

「どうかしたのかい?」

そんな声が聞こえて振り返ると

大好きな根津校長がいた

『根津校長お久しぶりです
 今日も素晴らしい毛並ですね』

椅子から降りて校長先生の視線に合わせるようにしゃがんだ

根「主人公の名前の髪も綺麗だよね」

両手を私に向かって出した校長先生を抱き上げる

『あぁ今日もフワフワですね』

ギュウっと抱きしめると

校長先生も抱きしめ返す

あぁ校長先生カワイイ

根「別に主人公の名前にバレても問題ないよ」

『笑ったらオールマイトのまんまなのに
 良くバレないですよね』

根「君の観察眼が鋭いだけだよ」

((((((鋭いどころの話じゃない!))))))

校長先生とモフモフしてたら消太の仕事が終わって

やっと帰れた

『校長先生さようなら』

根「バイチャ」

校長先生に手を振って

消太と家に帰る

隣のキバタンに似た先生はまだ仕事が終わらないらしく

消太はじゃーなと声を掛けてたから

仲が良いのだろう

消太ってひざし以外にも仲良い人いたんだ

こうして

初めての学校の1日目が終わった

ほんとにひざしどこにいたんだろう?

※ずっと隣に居ました

山「(主人公の名前に気付いてもらえない)」







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