僕のヒーローアカデミア


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やっとこの季節がやって来た

私がこの家に引き取られてから

消太もひざしも暇さえあれば私を外に連れ出してくれた

消太に至っては海外にも連れて行ってくれた

そして家での私は

家事・炊事・洗濯・掃除

まぁ主婦をしていた

二人の食生活がだらしなさ過ぎたっていうのが大きな原因だろう

そして

今日は雄英入学式

いや自由が校風の売りの雄英が“式”なんてものをするのか?

指定のシャツとズボンを着る

ズボンは出来るだけクルクルと巻いて

七分丈になるまで裾を上げる

ネクタイを結ぶ

少し緩めに

くるぶし丈の靴下を履いて

消太の使っていた薄手のパーカーを羽織る

丁度いいブカブカぐあい

ジャケットは暑いから着ない

スニーカーを履いて荷物の入ったリュックを背負う

『よし完璧』

あぁちなみに全部消太のおさがりだ

相「それで行くとか言わないよな」

山「ヤンキーか!?不良か!?そもそも男装!?」

私の格好が気に入らないらしい

『じゃあパーカー脱いでいく』

パーカーを脱ごうとしたら

そういう話じゃないといわれて

山「ジャケットはどうした!?」

相「それよりスカートはどうした」

『雄英は自由な校風が売り文句
 だったら格好もなんだっていいでしょ?』

長い髪をひざしと同じ様に結んで

まだ何か言いたそうな二人を置いて

『行ってきます』

そう言って家を出た

「「いってらっしゃーい」」

気の抜けたような声が扉越しに聞こえた気がするけど

まぁいいか

それよりあの二人はいつ仕事してるんだろ?

ヒーロー活動してるとこ見たことないや

まだ早い時間

学校に誰も居ないだろうけど

学校に着いて入学案内に書かれていた

A組の教室の扉を開く

扉が大きいのは海軍と同じ理由かな?

巨人系の個性?の人用かな?

まぁいいや

教室にはまだ早い時間だからか誰も居なかった

黒板には既に席順が書かれていた

自分の出席番号は18

前の席の所には“爆豪勝己”の文字

はて

私の唯一の友達にも同姓同名が居るのだが

まさかの偶然か?

いやでもヒーローになるって言ってたぐらいだから

ヒーロー科の最高峰の雄英に来るのは必須?

いやいやまさか

未だに肌身離さず首から下げてる玩具の指輪を

服の上から握った

まさか・・・・

まさかね?

ただの偶然だよ偶然

A級危険人物ってことがばれない様に

被ってたフードを外して他の生徒が来るのを待つことにした

読書をしながら

消太達に引き取られて図書館にも連れて行ってもらった

壁に敷き詰められるように並んだ本

この席のことは全く知らないから

私は本を読んで知識だけを吸収していった

消太もひざしも居ない時は専ら読書ばかりだ

ガラガラッ

と音を立てて扉が開いたのは暫くしてからだった

立っていたのは

眼鏡に七三分け

第一ボタンまできちんと閉められた真面目そうな男子

見るからに真面目感が漂ってる

あぁスモーカーの部下にあんなのいたよなぁ

ドジっ子だったから良かったけど

いやいや真面目って言ったらサカズキさん?

何だろーなー

ぼーっと彼を見ていたからか

入口から大きな声で

「おはよう!」

と言われてしまった

あぁうるさい

ひざしに買ってもらったヘッドホンでも持って来れば良かった

『ん おはよう』

軽く返して視線を本にもどした

あぁいうめんどくさい性格はひざしだけで良い

「君は来るのが早いな!僕・・・俺は私立聡明中学出身
 飯田天哉だよろしく」

差し出された手に自分の手を重ねながら

自己紹介をする

『主人公の名前 氷水気主人公の名前だよ
 苗字呼ばれ慣れてないから名前で呼んで』

つい苗字貰ったの一か月前だし

消太とひざし以外会ってなかったから

この苗字に全然なれない

飯「うむ女性を下の名前でというのは慣れないが
  そう言う理由なら仕方がないな
  よろしく主人公の名前くん」

手を離したから自分の席につくのかと思ったら

私の隣でこの学校の素晴らしさを語り始めた

ついでに私の制服のことも

あぁどうしよう

めんどくさい

しばらくしたらちらほらと同じクラスの生徒が教室に入ってくると

彼はあいさつ回りをしてくると言って

ほかの生徒の所に行った

一人で勝手に話をしていたものだから

私の周りは一気に静かになった

「おはよう 隣の席の瀬呂範太だよろしく」

隣の席の男の子が声を掛けてきた

背の高そうな

平凡そうな顔の男の子

『主人公の名前 氷水気主人公の名前だよ
 苗字呼ばれ慣れてないから名前で呼んで』

これ私何回繰り返すんだろ

めんどくさい

消太の言葉を借りるなら

“合理性に欠ける”だ

「おう よろしくな主人公の名前」

そして一番気になるヤツ

“爆豪勝己”が来たのだが

私の顔を見た途端目を丸くした

あの髪型とかあの目の色は一緒なんだけど

こんな凶悪な顔して無かったよね

私の知ってる勝己くんじゃないよね

「お前・・・・・・主人公のなまえか?」

言われた名前に頷く

『覚えてたんだ たった一回10年前にあっただけなのに』

爆「忘れるわけねぇだろ!こんなド派手な髪の奴!」

髪を指差されて言われてしまった

まぁ仕方ないよね

でもド派手な髪の人間って結構多いと思うんだけどな

この世界

だって教室を見渡すだけでも

赤い髪 黄色い髪 ピンク色の髪 紅白の髪

紅白!?

爆「ったく約束の意味ないじゃねぇかよ」

約束まで覚えてるなんてね

爆「俺のこと良く覚えたられたな」

『唯一の友達を忘れるわけないだろ?』

そう言ったら耳を赤くしてそっぽを向いてしまった

照れてるのか?

可愛い奴め

『じゃあ改めて自己紹介をしようか?』

爆「爆豪勝己だ」

『主人公の名前 氷水気主人公の名前だよ』

爆「会えてよかった」

微かに聞こえた声に頬が緩む

『会いたかったよ』

10年間私の心の支えだったから

ホントに会えてよかった

そのあとは私達は話をせず

お互いの好きな事をした

と言っても私は読書で

勝己くんは机に足を掛けていたせいで

天哉に声を掛けられていた

飯「机に足をかけるな!雄英の先輩方や
机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

爆「思わねーよ てめーどこ中だよ 端役が!」

え・・・・

飯「ボ・・・俺は私立聡明中学出身 飯田天哉だ」

律儀に私にして来た様に自己紹介をする

僕って言いかけたよね

私の時はガッツリ“僕”って言ってたのに

あれか?

これがひざしの言っていた高校デビューってやつか?

爆「聡明〜!?くそエリートじゃねぇか
  ぶっ殺し甲斐がありそだな」

『ぶっ殺し甲斐・・・?』

飯「君酷いな!本当にヒーロー志望か!?」

いやいやその前に

『私の大好きなカワイイ勝己くんはいずこに・・・』

飯田くんが何かに気付いて入口の方に向かった時に

私は勝己くんの後ろで頭を抱えていた

爆「勝己くんなんてキモい呼び方すんじゃねぇ!」

『私の10年間の癒し・・・』

爆「勝手に癒しにしてんじゃねぇよ」

私の方を振り向いて

手からBOM!と音を立てて爆破してくる勝己くん

脅してるつもりなのだろうか?

まぁ近くに火があるってことで熱いけど

そんなことを思って顔を上げると

教室は静かになっていて

入口を皆が見ていた

何かあるのか?

「ハイ 静かになるまで8秒かかりました
 時間は有限
 君達は合理性に欠くね」

聞き覚えのある声にモサモサの黒髪

え?

なんでここに居るの?

相「担任の相澤消太だ よろしくね」

担任!?

それより教師してたの!?

先生!?

相「早速だが 体操服着てグラウンドに出ろ」

寝袋の中から取り出された体操服

各自渡されていく

私の番になって体操服が渡される

『ねぇねぇ聞いてないよ』

相「言ってないからな」

『消太って先生なの?』

相「学校では相澤先生だ ほら早く行け」

シッシッと追い払われるように

私は消太から離れた

「お前担任と仲良いの?」

いきなりかけられた声に顔を上げたら

赤い髪の男の子

「俺切島鋭児郎」

『主人公の名前 氷水気主人公の名前だよ
 苗字呼ばれ慣れてないから名前で呼んで』

切「んで?担任と知り合い?」

『うん』

内緒にしないといけないとか言われなかったから

言ってもいいのか?

でも

生徒と教師だし・・・

言っちゃダメ?

流されるがままどこかの教室に入ろうとしたら

『うグッ』

後ろから襟を引っ張られた

爆「たくテメェはこっちじゃねぇだろうが」

勝己くんだった

こっち?

入ろうとしていた教室は

“男子更衣室”

『ありがとう勝己くん』

爆「その呼び方やめろ」

切「え?女?」

鋭児郎に言われて質問に答えようとしたけど

勝己くんにポイっと隣の部屋の方に投げられ

扉を閉められてしまった

しかたなく隣の扉を開けると

女の子がお着替えしていた

「え?」

「キャー!エッチ―!」

慌てられ叫ばれ

仕舞いには蛙っぽい子に舌で殴られた

『ゴメン 私女です』

正座した状態でそう言うと

皆に謝られた

『いやいや 私が男子の制服着てるからだし
 紛らわしいことしてごめんなさい』

本当は消太達が制服を買ってくれるって話だったけど

それは申し訳ないし

スカートは落ち着かないしで

説得してズボンをはいているのだ

ちなみに消太のおさがり

身長145cmの私には全部デカい

それから7人全員で自己紹介して

一緒にグラウンドに移動した

結論:皆いい子で可愛くて天使だった


































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