幸せの蒼
□【6】名前
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「マルコ隊長、この子が桃族の?」
医務室へ入るなりナース長のアメリアが腕の中で眠る少女を覗く。
昨晩先に船へ戻った隊長達が既に他のクルー達へ事情を説明した様で。少女をそっとベッドへ乗せるとナース達はすぐ治療へと移ってくれた。
アメリアが指揮を取り皆がテキパキと働いている。
「あぁ。悪いが宜しく頼むよい。俺は親父の所に報告へ行かなきゃいけねえからよい」
眠る少女に目線合わすようベッドの横に屈み、ゆっくり優しく髪を一撫でする。
傷だらけの身体が痛々しい。
後でまた来るとナース達へ告げ、目線は少女へ向けたまま白い頬を一撫でして俺は医務室を出て行った。
パタン
「……何か今、見てはいけない物を見てしまった気分だわ」
「思ったーー!!何かあたしがドキドキしちゃった!!マルコ隊長ったらナチュラルにやるんだもん!!」
「マルコ隊長の顔見た?あたし斜め前にいたからよく見えたけど」
「えー見てない!どんな顔だったの!?」
「何か心臓がぎゅーーってなる感じ」
「なにそれー!」
と中堅ナースのエマとハンナがきゃっきゃするのを
「あなた達、おしゃべりもいいけど手を動かしなさい」
アメリアに叱られるのであった。
「「……はーい」」