幸せの蒼 U

□【45】告白
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あっという間に過ぎ去った一日。


日が暮れ始めた街を、モナの小さな手を握りながら船に向かってゆっくり歩く。


穏やかな時間だった。


船の安否を考えず、誰か一人で頭がいっぱいになった日は一体何年ぶりだろう。


たぶん、初めてだ。


そう考えて過ぎったのは


”あぁ、これ、初恋なんだな”


馬鹿みたいだよい、いい歳して。




「お土産たくさん買えましたねっ。」

「あぁ、そうだな。」



交わしたたわいも無い会話すら、全てが新鮮に感じるなんて。



「マルコさん、今日は一日中付き合って頂いて本当にありがとうございました。私、楽しかったです。」

「いや、俺もいい息抜きになったよい。島をただ見て周るだけなんて何年ぶりだか。」

「ふふふ。なら良かったです。マルコさんの昔話も聞けた事ですし大満足ですっ。」

「おい。頼むからそれは忘れてくれよい。」



そう言ってお互い笑いあった。



「・・・・」



もともと誘ってくれたのは確かにお前だけど


「ありがとう」だなんてそれは全くもってこっちの台詞なのに。


隣で微笑むモナをただひたすら目に焼き付けたくて。


「・・・マルコさん?」


口には出さず繋いだ手に力を込めると、ふと目が合ったモナは不安気に俺を見上げた。


それが言葉にならないのは、今まで感じた事の無い痛み。


何だこれ。


それが俺の中にあるとすれば、


”抱きしめたい”


それしか見つからなかった。


思わず彼女の長い髪に触れそれを耳にそっと掛けると、暗がりでもわかるくらいモナの頬が赤く染まったのは、


もう期待しても良いって事だよな?


「モナ、俺からもありがとよい。」


そう言ってポケットから小さな箱を取り出し、彼女の首にそっと掛けると丸くて可愛らしい目が更に丸くなる。


「え、、っ。マルコさんこれっ。」

「まぁやっぱ似合うな。」

「い、いつのまに買ったんですか?」

「さぁいつだろうな?お前がデカい口開けてクレープ食ってる時だったかねい。」

「もうひどい////」

「ははは。」

「でも、こんな素敵な物頂いて良いんでしょうか?」

「返される方がショックだよい。」笑

「本当に、凄く嬉しいです。ありがとうございます。」

「一生着けとけよい。」

「え////」

「、、、なぁモナ、」

「、、、?」










「好きだ。」










呟いた自分の声がやけに響いた気がした。

モナの瞳が揺れて、思わずその身体を腕の中へと抱き締める。


「ずっと俺の側に居ろ。、、ずっとだ。」

「////、、、、、はい。」


強張る小さな体は近づけた唇をそのまま優しく受け入れた。


頬を伝う涙がとても綺麗で。


それを撫でると、モナは嬉しそうに微笑んだ。


これからまた新しい俺たちの日常が始まる。



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(船に戻ったらパパに報告しなきゃですね)

(・・・・・・;)

(あれ?マルコさん?)

(それは何かまだ心の準備が、、、)

(え?なんですか?)

(いや、、、なんでも無いよい)

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