跡部

□クラブ見学
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「……………」

今、私は跡部景吾の車の中にいる

なんでこんなことになってしまったのだろう


「なかなか遠いとこに住んでんだな」


ずっと黙っていた跡部景吾が急に口を開いた

「はい、まあ…」

そっけない態度で返事をする

「電車で通ってんのか?」

「はい」

「大変だな、車とかないのかよ」


あるわけないです
あなたみたいに、しかもこんな高級車で毎日送ってもらうなんて
お金持ちのおぼっちゃまぐらいだけだと思います


って言ってやりたいけどぐっとこらえた


「お前、部活は何入ってんだ?」


「あ、まだ何も…」


「入る気はねーのか?」


「何かには入りたいなって思ってるんですけどなかなか決まらなくて…」


「なら決まりだな」


「はい?」




「テニス部のマネージャーになれ」


て、テニス部?

マネージャー?!

なんでよりにもよってテニス部のマネージャーなんか…

噂で聞いたことがある

氷帝学園のテニス部は全国大会にも出場したことがあって200人以上もの部員がいるとかなんとか…


そんな強豪校の部活のマネージャーなんて無理だし!


「レベル高いとこはちょっと…」


「あーん?だからいいんじゃねえか
マネージャーがいた方が俺らも助かるんだよ」


「跡部先輩はレギュラーなんですか?」


「お前、俺様のことほんとに何も知らねえみたいだな。」


「へ?」


「俺様は氷帝学園の現部長をつとめている、もちろんレギュラーだ」


「ええ?!部長?!生徒会長もやってるのにですか?!」


「……いちいち反応がでかいやつだ」


「た、大変じゃないんですか?」


「そういうのには慣れてるからな
なんてことない」

す、すごい

なんだこの人

ただのお金持ちの俺様のおぼっちゃんってだけじゃなかったんだ…


「景吾ぼっちゃま、着きました」


「ん?ああ、おい、着いたぞ
ここがお前の家か」


「あ、はい」


「小さいな」


「ふ、普通ですけど!」


そりゃあなたと比べたら小さいでしょうね!
でも庶民は誰でもこんな家です

やっぱり失礼だこの人

むかつく……


でも一応送ってくれたわけだしお礼は言わないとね


「送っていただきありがとうございました、失礼します」


「ああ、明日テニス部に見学しにこい
いいもの見せてやる。じゃあな」


「は?ちょ、ちょっと…!」


言いたいことだけ言って行っちゃった…

もう!なんなのほんと!
どんだけ自己中なのよ!

テニス部なんて絶対行かないんだから



でも、思ってたより怖い人じゃなかった…

優しい…のかな…?


いや、でもハンカチ古臭いとか(謝ってくれたけど)家小さいとか失礼なことばっかりだし

お金持ちな人はいい人は少ないんだから
勝手な私のイメージだけど



部活…か。

どうしようかな…
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