跡部

□ありえない
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授業が始まると

さっきのことは忘れようと私の中で決意し
ノートを取ることに集中した



キーンコーンカーンコーン


「ふう…終わったぁ」


「花梨お疲れ様ー疲れたね」


「うん、ほんとにね
文香さっきの範囲意味分かった?」


「ぜんぜーん、あの先生なに言ってんのかさっぱり」


「だよねーよかった私だけじゃなくて」

「きっとみんな理解できてないと思うよー」


学力的には他の人たちよりも劣ってるわけじゃなさそうで安心した


理解できてないの私だけじゃ不安になっちゃうよね


「さて、そろそろ帰ろっかな」


「うん、私も帰る、また明日ね」

「うんまた明日ね」

私は少し遠いところから学校に通っているため
一緒の方向に帰る人がほとんどおらず
帰りはいつも1人で帰ることになる




帰り本屋さんにでも寄って帰ろうかな


その帰り道

行きつけの本屋さんに寄り
しばらくしてから店を出て歩き出すと

なぜかいきなり黒いかなり高そうな車が私の横にとまった


「え、な、なに?」

ま、まさか誘拐…?!


車のドアが開き中から人が出てくる


「なにしてんだこんなとこで、あーん?」


「あ、跡部…先輩?!」


で、でた…
またこの人だ

今日はなぜこんなにこの人に出くわしてしまうのか


まさか昼休みのこと根に持ってて
文句言いにきたんじゃ…


やばい、もしかして変なとこに連れてかれる?

お金の力でどこかに売りさばかれたりして……


考えれば考えるほどマイナスのことしか出てこない


「お前、なんか変なこと考えてないか?」


「う、売りさばくのだけは…!!!」


「なんだいきなり
馬鹿かお前は」


「…違うんですか?」


「なんの話をしている」


「昼休みのこと怒ってるんじゃ…」


「あーん?あなたには関係ないですよねってやつか?」


「そ、それです…」


「フン、まぁ俺様に向かってあんな口を聞くやつは初めてだったから多少は驚いたがな
別に怒ってなどいない」


「よ、よかった…」


「気の強いやつは嫌いじゃないんでな」


「だ、だって跡部先輩が私のハンカチ馬鹿にするからですよ」


「そんなに大事なハンカチなのか?」


「おばあちゃんが昔誕生日に買ってくれたものなんです
それを古くさいって言われたらそりゃ怒りますよ」


「それは悪かったな
大切なものってことを知らなかった」


あれ

この人普通に謝ったよね今

俺様って謝ることができないってイメージがあったけど


この人、そんなに悪い人ではない…のかな?


「お前、名前は?」


「阪本花梨です」


「花梨か」


「い、いきなり下の名前呼びですか?!」


「なんだ、不満か?」


「い、いえ…」

そりゃ不満だよ
嫌いな人にいきなり下の名前で呼ばれて嬉しいわけないじゃん

そんなこと本人には絶対言えないけど


「乗れ、家まで送ってやる」


「ええ?!い、いいですいいです」


「遠慮するな、俺様が送ってやるって言ってんだ
断ってんじゃねーよ」


いや、遠慮するとかそういう問題じゃないんですけど……

いきなり家まで送るって言われても


てか家とかあんまり知られたくないし


でも断ったら今度こそ本気で怒らせるかもしれない…


「…じゃあお言葉に甘えて」


「フン、最初から素直にそう言いな」

ほんと何様なんだこの人


そして嫌々ながらも
跡部景吾の車に乗り込み、家まで送ってもらうことになった
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