長編U

□第3話
1ページ/1ページ

千鶴と一緒に部屋に詰め込まれてから随分と経った。相変わらず監禁されているが、事情を知る隊士たちがちょくちょく遊びに来てくれるので、意外と有意義に過ごしている。…私は。
その一方で千鶴の方は、なかなか父親を探しに行けないのでそわそわといつも落ち着きなく過ごしている。
「ねぇ千鶴、そんなに気になるなら、土方さんにお願いしてみたら?」
「はい…でも土方さんも忙しいみたいですし…」
はぁ。とため息を吐く千鶴を見ていると思わず助けてあげたくなる。
「そしたらさ、千鶴が外に出るのは難しいだろうけど、私なら一応一番隊に所属してるし、許可もおりやすいかなと思うから、お父さまのこと探してみようか?」
「いいんですか…!」
ふと思いついたことを提案してみると、みるみる千鶴の顔が輝いてきた。
「いいよいいよ。私もそろそろ鈍りそうだから動きたいし。とりあえず、土方さんにお願いしてみるね。千鶴のことも。…ということで、いいですか?沖田さん?」
「ぇ!え?沖田さん?いつからそこに…」
「ははっ!さすが彩香ちゃんだね。僕は最初から見張りだったから居たよ。ところで、土方さんのところに、今から一緒に行く?」
「じゃあお願いします。…千鶴ちょっくら行ってくるねー!」
「は、はい!よろしくお願いします!」

-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
「…そろそろ私も巡察に連れて行ってもらえませんか?できれば、稽古もしたいです。」
土方さんにそう頼むと、意外とあっさりと許可を出してくれた。
「ん…そろそろ行かせようとは思っていたからいいだろう。次からは総司と一緒に巡察に行ってくれ。稽古も参加していいだろう…それから、雪村の方だが、あっちは剣をどの程度扱えるかすらわからないからもう少し待ってもらうことになりそうだな。」
「わかりました。ありがとうございます!」
「ぁあ。…あと、巡察に行く時は、この羽織を着ていけ。」
そう言って土方さんに浅葱色の羽織を貰った。
「はい!…あ、あと個人的なお願いなんですけど…兄上と姉上に文を書いても良いでしょうか?外と連絡を取らない方が良いなら、控えようと思うんですが…」
「…まぁそのくらいならいいだろう。向こうだって心配だろうしな。」
「ありがとうございます!…そろそろ文を出さなきゃゆうにぃならここに乗り込んできかねないので…ありがたいです。」
「…」
「それじゃあ失礼します。忙しい中ありがとうございました!」
「ぁあ。…そういや明日から俺と山南さんで大阪に出張しなきゃなんねぇからなんかあれば総司か斎藤にでも言えよ。」
「はい!では失礼します。」

「よかったね、彩香ちゃん。明日から巡察よろしくね。自分の身くらい自分で守ってね〜僕は助けないから。」
「はい。沖田さんのおかげです。これからよろしくお願いします。」
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ