長編U

□第1話
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この冬1番に冷え込んだ朝、廃神社の奥から1人の美しい少年が出てきた。
「はぁ。ついにここも取り壊されてしまうのか…また新しい寝床を探さなきゃならないね。」
この廃神社は、明日から取り壊しが始まる。
少年は、伸びを1つすると出て行く用意を始める。
「さて。行きますか…京の町に宿でも探しに。」
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朝早くに神社を出発してひたすら歩いていたが、京の町に着く頃にはすっかり日も高くなっていた。
「ふぅ。やっと着いたか。さすがに疲れたな…」
ふと一息吐いていると知らない浪士が2人近づいてきた。
「よぉ兄ちゃん。いいもん腰にぶら下げてんじゃん。」
「その腰のものをお国のために使う俺たちに譲ってくれないか?」
どうやら刀を寄越せと言っているらしい。めんどくさいことこの上ない。それにこの刀は…
「あんたじゃ扱いきれないだろ。そこを退いてくれ。俺は急いでいるんだ。」
そう言ったところで退いてくれないことはわかっていたが、とりあえず声をかけてやる。
「そういうわけにはいかないんだな。兄ちゃんよ。俺だって刀を扱えるぜ。見て行くか?」
2人が刀を抜きこちらに向けてきた瞬間、
「やっ!」
片方に蹴りを、片方に峰打ちをし、足早にかけていく。
「ま、待て!このっ馬鹿にしやがって…!」
「糞ガキが!覚えてろよ…!!」
なにやら後ろで喚いているが無視だ。
「…お腹、減ったな」

やっとのことで見つけた茶屋で一息吐く。
「…お茶とお団子2つ」
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