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□49:多分今日の星座は最下位
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山崎君と別れたという日から2日経って、ようやく周りの熱も冷めてくれた。嘘の上塗りに罪悪感でクラスメイトの目すら見れない。
明日からウィンターカップ予選なのでそこに集中しよう。
ドリンクを作ってると珍しく花宮君が来た。真顔…。
「さっき顧問が来てお前の親から電話きたから連絡しろってさ」
「え?何でわざわざ学校に電話なんか、」
「電話しても出ねぇからだろ」
「……あ。スマホ更衣室だった」
「ちっ。さっさと電話して来い」
「…はい」

親ってお母さんかな?
どうしたんだろう。とにかく私はドリンクを作り終えて冷蔵庫に入れてから更衣室に向かった。

鞄からスマホを探して取り出すとお母さんからの着信が2件とメールが届いてる。中身は【お父さんが…】としか書いてない。
え?何?もしかして事故?事件?え?
頭の中が少しパニックだ。
急いでお母さんに電話した。
『はい』
「あ、お母さん お父さんが一体どうしたの?!」
『実はね………明日から出張になったのよ』
「…………は?」
『突然すぎて参っちゃうわ!』
「いや、まあ確かに急だけど……。それわざわざ連絡する?」
『それでね、帰りにお父さんの替えの下着買って来て。なまえの方がいつも行く店から近いから』
「ああ…分かった」
『じゃあ頼むわね!あ、1泊だけだけど予備で2枚買っておいて。よろしく〜。』
……お母さんたまにこういう所あるわ。思い出し軽く息を吐く。
念のためスマホをズボンのポケットに入れて業務に戻ると花宮君に声をかける。
「さっき電話してきました」
「用件は?」
「…大した事なかったので。ドリンク持って来るね」
父親のパンツ買って来いなんて知られたくもないし言いたくもないのでさっさと部室に引っ込む。




***

「みょうじ帰ろうぜ」
「あ、ごめんね。お母さんに買い物頼まれちゃったから先に帰っていいよ」
「遅くなったら危ねぇし付き合う」
「大丈夫。お父さんと待ち合わせるから」
「そっ…か。分かった」
「ありがとう山崎君。また明日ね」
「おう」

山崎君と他の部員に挨拶をして走って学校を出る。
お父さんとは待ち合わせてはいないが
そう言った方が山崎君も安心するだろうし。…それに一緒に居る所をクラスメイトなどに見られたらまた誤解とかされて迷惑をかける。
私は、いつもお父さんが衣類を買うお店に向かい無事下着を購入すると帰路に着いた。




***
ウィンターカップ予選当日の朝。
朝練じゃないので普通の時間帯に起きる。でも早めに移動しなきゃいけないので慌ただしく準備をしていると階下から、なまえー!と呼ばれた。
荷物を持ってリビングに行く。
「なによ」
「ちょっと大変!お父さん携帯忘れてる!急いで届けてあげてっ」
「マジか。も〜お父さんは!」
出張行くのに携帯ないと仕事に支障でるじゃないか。朝ご飯はコンビニで済ますしかないと食卓の朝食を諦め、お父さんを追いかける。

駅までダッシュで走りお父さんの姿を探す。
「っ!いた。お父さん!!」
ホームに立つ姿を見つけ叫んだ。
ーーーいやいやいやっ、気付いてよ。
電車に乗ろうとするので焦ってしまった私は思わず学校とは別方向である電車に乗り込んでしまった。
「なまえ?え?」
「……けーたい………」
扉が無情にも閉まり走り出す電車。
しかもお父さんの出張先までノンストップ。苦笑いの父親と苦笑いの私は、やってしまったと頭を抱えた。

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