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□43:BBQ〜牛より豚が好き〜
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普通より目立つ集団と川辺で地味に戯れる。
川の水が冷たくて、やっぱりなと1人納得する中何人かの生徒が裸足になって川に入っている。
若いなぁと関心しているとその生徒の中に山崎君も混じっていた。

「お!魚いるじゃん。捕まえて食おうぜ!」
「ザキ〜、キャッチアンドリリース〜」
「んだよ。お前らも来いよ!」
「やだ。寒い」
「なまえちゃん、見て見て!キラキラした小石があるよー」
「本当だ」
すずちゃんがしゃがんだ足下に宝石の様にキラキラした小石が幾つもある。
2人で少女みたいにはしゃぐ。
原君は山崎君目掛けて石を投げて遊んでいた。一応手加減してるっぽい。
瀬戸君は大きな岩に座って眠そうにしている。
古橋君と…花宮君は地面を見ながら木の枝を拾っていた。
「…花宮君と古橋君は何してるの?」
「もうすぐBBQの時間になるから火起こし用に丁度良い枝を集めとこうと思ってね」
人当たりの良い笑みを浮かべながら答える花宮君。
「あ…手伝います」
「じゃあ私も!」
「2人共ありがとう」
とっとと手伝えバーカって絶対思ってるよ。私、花宮君の気持ち通訳出来るな。ハハ。







※※※

日も少し落ちてこの日の一大イベントであるBBQが開始された。
肉や野菜を切るグループ お米を炊くグループ 火を着けて焼くグループを先生達が既に決めていた様で色分けされたバッチを渡された。
私が渡されたのは赤色のバッチ…………肉野菜グループか。
「分かれちゃったね〜。私は黄色、焼くグループだわ」
「火傷しない様にね」
「なまえちゃんも指切らない様にね!」
すずちゃんと言葉を交わして調理場へと向かう。
他の皆は何グループだったのかな?


調理場には1・2・3年生と担当の先生が居て、数人程バスケ部員が居たので少し安堵する。
誰も知り合い居なかったら寂しいじゃないか。
先生の指示を聞いて私は野菜を切る。



肉や野菜を切り終え赤グループの役目を果たす。
黄色グループのすずちゃんが串に刺さった食材を焼きあがった順に紙皿に並べていく。牛・豚・鶏と分けて。
他の生徒達は、それぞれ焼けた肉や野菜を食べながら談笑していたり、炊きあがった白米(おにぎり)を食べたり飲み物を飲んでいた。
私は、すずちゃんの為に飲み物を差し入れたりお肉をキープしたりサポーターに励んでいる。
「−−−ふう。こんくらいでいっか」
「お疲れさま!お肉、豚と鶏で良かった?」
「よき!牛は苦手じゃ〜」
「私も」
2人で空いてた木のベンチに座り一息入れる。
タレが染み込んだ豚肉はとても美味しい。今日だけはデブ活だわ。
明日の登山でカロリー消費を狙わねば。



※※※

翌日早朝。起床時間より1時間早く目が覚めてしまい、外の空気を吸いに静かに出る。
昨夜は睡魔に勝てずガールズトークから早々に離脱したのだ。
恋愛話が主でついていけない…。若さが眩しい。

もうすぐ冬の空は夏とは違いまだ薄暗く風も冷たい。
何となく深呼吸の体操をする。
頭の中でラジオ体操の音楽が流れ、それに合わせ手が動く。
「みょうじさん いつもラジオ体操やってるの?」
「っわ!?せ瀬戸君?!」
不意打ちに合い肩がはねた。何故こんな早くに瀬戸君が?
「トイレ行ってきたらみょうじさんが1人で居たから何してるかと思ったらラジオ体操してたとかウケるね」
私の言葉に乗っかる前に話す瀬戸君。
「……ラジオ体操は毎日してる訳じゃないよ」
「あ、そ。俺まだ寝るから、頑張って」
眠そうに欠伸をして去って行く。頑張ってと言われても?

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