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□38:お似合いと言われても
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古橋君にメールをしてみたら、まさかの体育館に居たらしい。
ウチのクラスの劇を観ていたとは。
次に原君からもメールが来て、マジでちゅーした?と赤面してるウサギのスタンプまで送られて来たので速攻で違う、セクハラ。と返信しておいた。
取り敢えず古橋君とは2年の階の廊下で待ち合わせをする事にした。

その間、劇を観た生徒達が私を見つける度にラストの事を聞くので何度も何度もフリだと否定して古橋君が来る頃には既に疲れてしまっていた。ごめんなさい古橋君。

「今頃、花宮君も囲み取材に応じてるかもね」
「?何があったんだ?」
「ああ…ラストのキスシーンについて凄い聞かれて、」
「フリだろ?」
「そうなの!本当にする訳ないし」
さすが古橋君分かってらっしゃる。空気も読めるイケメンだ。
「それより写真撮ろっか。古橋君まだ仕事残ってるんだよね?」
「ああ」
すずちゃんがスマホを操作して少し離れる。
私と古橋君は窓側の方へと2人横に並ぶ。

「いいね〜。はい、撮るよー」
ピースしようと思ったが隣に立つ古橋君は直立不動だ。
挙げかけた右手を下ろして両手を前に重ねて少し口角を上げた。
シャッター音が鳴り、すずちゃんが確認してから私達に仕上がりを見せてくれる。
「うん、いいんじゃないかな」
「なまえちゃんのスマホに送るね〜」
「ありがとう。古橋君にも送るね」
「ああ」
3人で輪になって写メを送り合う。私は置いといて古橋君は写真うつりが良いな。
「すずちゃんも着替えないで一緒に撮れば良かったのに」
「えー、だって後半出番ないし暑苦しいんだもん」
「裏で脱ぎだした時、一瞬驚いたよ」
「だからジャージなのか」
「うん。また後で制服に着替えるけどね」
「じゃあ俺は戻るから」
「あ、うん。頑張ってね」
「ありがとー」
古橋君は踵を返して自分のクラスに戻って行った。
「私達も着替えよっか」
「うん」

「みょうじ!」

女子更衣室に向かおうとしたら山崎君が足早にやって来た。
「どうしたの?」
「あー、えーっと、」
「?」
「しゃしん、写真!」
「写真?」
しどろもどろな山崎君にすずちゃんが背中を叩く。
「いてぇっ」
「ハッキリ喋れよ、ほらっ」
「う…。写真をだな、一緒に撮ってくれ…!記念に!」
「あ、うん。いいよ」
頷いた私に嬉しそうにポケットから携帯を取り出す山崎君。可愛いな。
「高橋っ 頼む!」
「お前さっきから煩いよ。声のボリューム下げて」
「あ、わり」
山崎君から携帯を受け取るとさっきと同様、少し距離を取って すずちゃんは携帯をかざす。
「はい撮るよー。321、オッケー」
「はえーよ!ちゃんと撮れって!」
「もーワガママだなぁ。じゃあ、もう一回撮るよー」
山崎君がピースをしたので私も同じポーズをとる。
「1+1はー?」

「に、
「田んぼのたー♪」

いきなり原君が乱入して来た。
シャッター音が鳴り そのままスリーショットとなってしまった。
「原ぁ!何してんだお前は!」
「えー?だって俺もなまえチャンと撮りたい」
「だからっていきなり入ってくんなっ」
「いいじゃん いいじゃん。ある意味記念だろ?」
「何だそれ!」

「騒がしくなったから行こっか?なまえちゃん」
「え、でも」
「あんなのに付き合ってたら時間なくなっちゃう」
「う…ん」
未だ言い合ってる山崎君のズボンの後ろポケットに携帯を落とし入れると、すずちゃんは私の背中を押しながら歩きだすので気にしつつ一緒に歩く。

しばらく離れた後方から、あれ?みょうじ?!と聞こえた。

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