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□35:相手が違う
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ソースの香ばしい匂いが漂う教室に入ると鉄板の上で大量の焼きそばが焼かれていた。

「俺、3杯も食っちまったぜ」
「凄い食べたね」
そんなに美味しいなら食べるのが楽しみだ。
注文を受ける場所に並び席を確保してくれてる すずちゃんの分も一緒に注文する。

「席まで持って行くので、この番号札を持ってお待ち下さい」
「はい」
3と書かれた番号札を持ち、すずちゃんと山崎君が待つテーブルに向かう。
周りを見渡すと原君と瀬戸君が焼きそばを作って働いている。
原君サボらず何より。
「文化祭とかの食べ物って何故か美味しく感じるよね」
「分かる〜。お店とはまた違った味わいがあるよね〜、何でだろう?」

「そりゃあ、愛が詰まってるからねん」
「…原君」
いつの間に来たのか、原君が焼きそばが入ったパックを持って背後に立っていた。
どーぞと私とすずちゃんに焼きそばを渡す。
「あっつい内に食った方が美味いぜ」
「火傷しちゃうよ 山崎君」
「美味しそー!いただきます!」
添えられた割り箸を割って食べ始めるすずちゃんに続いて、私も頂く事にする。

「どう?」
「………、うん美味しい」
「だろー?あー!見てたらまた食いたくなって来たっ」
原君に感想を聞かれ素直に返事を返し向かいの すずちゃんと頷き合う。
てか、山崎君どんだけ食べる気。
「良かったら私の分わけてあげるよ」
「え、マジ?」
「うん。はい、どーぞ」
山崎君の方へとパックをスライドさせる。
「………う、」
だが、中々焼きそばに手をつけない。不思議に思ってると何故か顔が赤い。
「どう
「みょうじさんの使った割り箸が気になるかザキ」
私の言葉を遮って瀬戸君がやって来た。
「あ、ごめんね。人の使ったやつだし汚いよね」
「へっ?!あ!や、」
「私、新しいの貰って来る」
席を立とうとすると瀬戸君が山崎君に新しい割り箸を差し出した。
「瀬戸君ありがとう」
「悪いな瀬戸」
「ザキ残念だったねん?なまえチャンとせっかく間接キス出来るチャンスだったのに」
「うるせぇ!つか、お前ら早く戻れよっ」
「いや、交代の時間だから終わった。あー眠い…」
欠伸をして空いてるすずちゃんの横の席に座る瀬戸君。
「おい、ここで寝んなよ」
「寝ないよ。後で別の場所で寝るわ」
「それよりザキ早く食えよ。冷めるじゃん」
「お、おう」
原君に促され山崎君は嬉しそうに焼きそばを食べ始める。
「なまえちゃん代わりに私の分けてあげるー」
「わー ありがとう」
すずちゃんが半分だけ残した焼きそばを私に渡してくれた。
今食べてるのは山崎君と私だけで
原君と瀬戸君と すずちゃんが待つ形になるので、急いで食べる。

「この後、皆で行動しよ?」
「あれ?原君は他の女子から誘われてたよね」
「特定のコ選んだら可哀想じゃん」
「遊び人ですもんねー」
「高橋さんイケズー」
2人のやりとりが面白くて、ついつい会話を聞いてしまい食べる手を止める。

「みょうじさん」
「え?」
瀬戸君が私が空中で止めた割り箸に挟まれたままの焼きそばを私の手ごと自分の口に運んで、
「あ」
「やっぱ美味い」

食べた。

「あーーっ!!瀬戸 てめ…」
「ザキうるさい」
「いいぃま!か、かん!」
急に席を立ち、ワナワナと震えながら瀬戸君に向けて指を差す山崎君。
「どうしたの?」
「みょうじ!だから危機感持てって言ってんじゃんっ!」
「え?別に私は気にしないけど…」
「気にしろよっ」
山崎君はピュアだ。その気持ちをいつまでも忘れないでいてほしい。
「ザキ残念無念また来週〜♪」
「うるせぇ!」

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