main

□34:さりげなく
1ページ/1ページ


とうとう、この日がやって来てしまった、、。
昨日は中々眠れなくて若干寝不足だ。
文化祭本番の日
天気にも恵まれ霧崎第一生達のテンションは高い。

「なまえちゃん、早く校内まわろー。私お化け屋敷行きたい!」
「3年2組だよね、混むかな?」
パンフレットを持ち 何処で何が出店してるか確認する。
原君と瀬戸君のクラスは焼きそば屋さん。古橋君のクラスは甘味処の様だ。和服着るのかな?彼なら似合いそう。

すずちゃんと3階のお化け屋敷に向かう。
すると数人並んでいたので最後尾に並び雑談しながら順番を待った。
教室の中から悲鳴が聞こえる。
「うわー、楽しみだね」
「そうだね」




お化け屋敷は、素人が作ったとは思えない程のレベルの高い物で本当に怖かった。
丁度出た所でスマホが鳴った。
山崎君からだ。

【今、どこ?】

「出たよ、過保護が」
すずちゃんがスマホを覗き込み一言呟く。
お化け屋敷に居たよと返信すると
山崎君は焼きそば屋さんに居る様で、暇なら来れば?と誘われた。
「すずちゃん、焼きそば屋さん行く?」
「よし。ザキに奢らせよう」
ペットボトルのお茶を飲み意地悪く笑う。
今から行くねと返信して原君と瀬戸君のクラスへと向かった。


「みょうじさん」
階段を降りた時、看板を掲げた古橋君が立っていた。
期待してた着物だ。
「古橋君、似合ってる」
「何が?」
「着物」
「ああ、ありがとう」
「本当だー!なまえちゃんの着物姿とペアで写メ撮りたいなー。」
「みょうじさんも着物着るの?」
「うん。劇で着るんだ」
「ねね、古橋君 今日は1日ずっと着物?」
「ああ」
「じゃあ写メ撮っていい?」
「別に構わない」
「やったね!なまえちゃんも良いよね?」
「え、うん」
すずちゃんの勢いについ了承してしまった。
でも古橋君の和装が記念になるので良しとしよう。
「古橋君は客引き係?」
「まあな。良かったら寄って行かないか?」
「せっかくだから行こうか!ザキ達は待たせとけば。クラスも近いし」
古橋君がわざわざ誘ってくれてるんだから無下には出来ず頷く。
後で山崎君にメールしとこう。

「じゃあ、こっち」
古橋君の案内で甘味処と書かれた教室に入る。
「いらっしゃいませー!」
和テイストのBGMと装飾が施された教室内はとても大人っぽい雰囲気だ。
空いてるテーブルに座ると古橋君がメニュー表を開いて見せてくれた。
「俺のオススメは、抹茶きな粉と黒蜜のクリームあんみつ」
「あ、じゃあ私はそれで」
「高橋さんは?」
「私は、みたらし団子!」
「分かった」
古橋君がオーダーしにカーテンで仕切られた部屋の奥に入って行った。
しばらくすると飲み物をお盆に乗せた古橋君がやって来て、私とすずちゃんの前に置く。
「俺の奢り」
「え、」
「ごゆっくり」
そう言うと古橋君は、また看板を持って廊下に出て行く。
「…やだ、イケメン」
すずちゃんの言葉に既に居なくなった古橋君が出て行った廊下を眺めながら小さく頷く。

古橋君のクラス手作りの抹茶は程良い苦さで美味しかった。
オススメされたあんみつも勿論美味しかった。すずちゃんが頼んだみたらし団子を分け合って完食した。
改めてお礼を言うべく古橋君が立っていた場所に戻ると花宮君が居た。
何か話をしてるので邪魔かな?と思いつつ2人に近づく。

「…古橋君」
「みょうじさん」
「さっきはありがとう。抹茶もあんみつも美味しかったよ」
「みたらし団子も美味しかったー!抹茶ありがとっ」
「それは良かった」
「あ、花宮君邪魔してごめんなさい」
「大丈夫だよ。今から何処行くの?」
「ザキが焼きそば屋さんに来いって煩いから、今から行くんだー。花宮君は行ったの?」
「僕は劇の最終打ち合わせの為に今から体育館なんだ」
「そっかー、劇頑張ろうね!」
「そうだね。必ず成功させよう。…ね?みょうじさん」
「はー…い」

お願い。プレッシャーかけないで。

「あーいたいた。みょうじ!高橋!おせーぞっ」
「ザキ邪魔しないでよ。今団結してるとこだったのに」
「はあ?意味わかんねえ。良いから早く来いって!焼きそばスゲーうめぇの!」
「わ、」
山崎君が私の手首を掴んで引っ張って歩き出す。
「高橋も早くしろよっ。花宮、古橋じゃな!」
「は、花宮君古橋君また後でね!」
山崎君に引っ張られながら2人に声をかけて原君と瀬戸君のクラスへと向かう。

「ザキの奢りだよね?」
「何でだよ」
「ハッ、残念な奴」
「何でだよ!」
すずちゃんの中で古橋君の好感度が上がって、山崎君の好感度が下がった模様。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ