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□33:自分の気持ちに素直な事は良い事だ
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私にとって貴重な休日。
すずちゃんに頼まれて以前待ち合わせした場所に向かっていた。
あのストリートバスケを通ったが今日は小学生の男の子達が使用していた。


「すずちゃん お待たせ」
「こっちこそゴメンね!急に呼び出しちゃって」
「いいよ。休みの日はほぼ家で寝てるから」
「そっかー 良かったよ。じゃっ、行こっか!」
「何処行くの?」


「キセリョのサイン会!」


***


「すご…」
色んなビルが建ち並ぶ中の1つのビルに女の子の長蛇の列が出来ていた。みんなキセリョのファンか凄いな。
「実はさキセリョがしばらくモデルの仕事セーブして部活動に専念するんだって」
「あ、学生なんだ」
「ウチらの1個下だよー。しかもキセキの世代」

……ん?
キセキの世代って聞いた事あるな。何処だったけ?
「だから!今回のサイン会がある意味見納め!行くしかないよねっ」
「うん、すずちゃんがキセリョ好きなの知ってたけど 私は何の為に呼ばれたの?」
「サイン1人1枚なんだよね…。部屋に飾る用と保存用が欲しくて」
「なるほどね」
つまり私もキセリョのファンとしてサインを貰い すずちゃんにそれを渡せば良いのか。
「ほんっとーに!ありがとうございます!!」
顔の前で両手を合わせて拝む姿勢に小さく笑みが溢れた。
「マジバのバニラシェイク」
「っ! デザートも付ける!」
「うむ」
条件に満足してお互いに笑い合った。ああ、良いな友達って。

しばらく列に並んでいると前方から黄色い叫び声が聞こえた。
きっとキセリョが来たんだろう。
スムーズに列が進みお店の中が見える場所まで来ると金髪の男性がテーブル1枚隔てて座っておりサインを書いてファンの女の子に渡し握手している。あれが本物のキセリョか…。イケメンだわ。
「あ〜カッコ良い!早く順番来ないかな」
「後、ちょっとだよ」
ソワソワと落ち着かない すずちゃんとは反対に私はキセキの世代について考えていた。
さっきマジバの件で思い出したのである。あの時原君に教えてもらったんだ。
正直調べるまではしてないが バスケが秀でて上手いらしい。
イケメンでモデルでバスケ上手いって漫画かよ。
「なまえちゃん!次だよ!」
「え?あ、うん」
すずちゃんの声に考え事を止めて現実に戻る。

「今日は来てくれて ありがとう。名前は何て言うっスか?」
「すずです!涼太君これからも応援してます!」
「すずちゃんね、ハイ!どーぞ」
「ありがとうございます!!」
頬を染めてサインを受け取りキセリョと握手する すずちゃんは本当に嬉しそう。良かったね。

「はい次の人」
スタッフに誘導されてキセリョの前に出る。
すずちゃんは先に外に出て行く。
「今日は来てくれて ありがとう」
ニッコリ笑顔の彼から星が飛んでる。
「…どうも」
「名前は何て言うっスか?」
「っ、…………高橋です」
あっぶな!思わず自分の名前言うところだった!
「たかはし、でいいんスか?」
「はい」
「了解っス。…ハイ!どうぞ」
「ありがとうございます。WC予選お互いに頑張りましょう」
「え…ああ、ハイ」
握手をしてさっさとその場から離れて外で待ってた すずちゃんにサインを渡した。
「ありがとうなまえちゃん!よしっ、マジバ行こー」
「うん、あ その前に本屋さん寄っていい?」
「いいよー」
この前、古橋君お勧めの小説を借りて読んだのだが 続編があるらしいので買おうと思っていたのだ。もし古橋君がまだ買っていなければ貸そう。


お目当ての小説を手に取りレジに向かおうと歩き出したら人にぶつかってしまった。しかも相手の持っていた本を落としてしまう。
「すみません!」
慌てて本を拾い上げる。
女の子の写真集だ。
「すみませんでした。あの、これ」
写真集に付いた埃を払い差し出すと相手は見上げる程の高身長で蜂蜜色の髪をした、イケメンでした。
「みゆみゆの顔にキズでもついたら刺すトコだった」
「!も、申し訳ないです…」
ひぃっ?!怖いんですけど この人!
「宮地さ〜ん、みゆみゆの写真集あったんすか〜?」
「高尾」
「大声を出すな。迷惑なのだよ」

……なのだよ?
緑頭の彼とワンレンの彼に宮地さんと呼ばれた男の人は小さく溜息を吐き踵を返し2人の方へと向かって行った。
「ん?あれ?あのコと何か話してなかったすか?」
「何でもねえよ」
「怪しいっすね〜」
「うるせぇ轢くぞ」
「えーー!」
「だから高尾うるさいのだよ!」

やいのやいの言いながら3人はレジへと遠のいていく。
背が高いから目立つけど。
「なまえちゃん、イケメン集団に絡まれる、っと」
いつの間にか傍に居た すずちゃんがスマホを操作していた。
「え、すずちゃん何してんの?」
「ザキに報告?」
「いや誤解だからね?」

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