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□26:初めての練習試合
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体育祭も終わりいつもの部活風景を眺めていると みょうじと花宮君に呼ばれ小走りで彼のもとへと向かった。

「何か雑用でも?」
「違う。今度の日曜に他校と練習試合があるから報告」
「練習試合…」
そんなもんがあるのか。
「フハッ。わざわざ静岡から遠征して来るとは御丁寧な事だな」
「へえ、静岡から」
「まっ そんだけだ。戻っていいぜ」
虫でも追い払う様にシッシッとされ、文句を言いたい衝動を抑え元の位置に戻る事にした。

他校との試合を観るのは初めてだ。ウチのバスケ部の実力が知れる良い機会だと思う。
少しばかしワクワクする胸を押さえ作業を始めた。


***

待ちに待った日曜日。
平日より静かな学校の門をくぐる。
体育館の入り口にもたれ掛かり本を読んでる花宮君を見つけた。
「花宮君?何して、」
私を視界に捕らえ また本に視線を戻した。
「早く鍵持って来いよバァカ」

「………え、」
「あ?」
ジロリと睨まれこれ以上何も言わず職員室に向かった。

ーー先に来てたんなら自分で持って来いよ。ムカつくな。


体育館の鍵を開けて部室の鍵を花宮君に渡すと何も言わずに部室へと行ってしまう。別にお礼とか求めてないけど…!

私は体育館に入り着替えを素早く済ませると窓を開けて換気をした。準備を始める頃には部員達がゾロゾロと登校して来る。
「おはよ、みょうじ」
「おはよう山崎君」
気怠げに歩いて来る山崎君と挨拶を交わす。
「今日、練習試合だね 頑張ろうね」
「あー、でれっかな…」
「え?」
「いや何でもねぇ。じゃあ俺部室行くから」
ニカッと笑うと早足で部室へと行ってしまった。
何なんだろう?スタメンが練習試合するんじゃないのかな?

「みょうじ」
頭の中にハテナを浮かべてたら花宮君に声をかけられて 其方に視線を移す。
「もうすぐ相手校が到着するらしいから正門前で出迎えと案内しろ」
「あ、うん」
スマホを片手に指示を出され
取り敢えず正門前に走った。

既にマイクロバスが停車しており車内から数人降りていた。急がねば。

「待たせてすみません!私、マネージャーのみょうじと申します。今日は 宜しくお願いします」
頭を下げて自己紹介をする。
「とても丁寧な挨拶ですね、ウチの部員に見習わせたい」
最初に口を開いた男の人を見る。
「福田総合学園から来ました。
主将の石田英輝です。宜しくお願いします」
スッと手を差し出された。自然な動作につられて自分の手を出すと握手された。

「では、体育館に案内を
「へ〜霧崎女マネいんの?」
いきなり話を遮って来た見るからにガラの悪い男が近づいて来て私をジロジロ見てくる。
「おい灰崎」
石田さんが灰崎と呼ばれた彼の肩を掴む。
「ウルセェな、あ オレ灰崎祥吾っつーの。ヨロシク〜なまえちゃん」
「よ、宜しくお願いします」
ニヤニヤ顔が怖い。
「案内、しますね」
私は灰崎君を避ける様に体育館へと身体を向けた。

原君とは違うチャラさを感じる。

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