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□25:体育祭終了
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部活対抗リレーでマネージャーも走るのかと思っていたが只プラカードを持って先頭に立って歩くだけでよかったみたいだ。
主に運動部の男子が走る様で文芸部と女子の運動部員はないらしい。まあ、女バスや女子サッカー部とかないからね。

次々と部活紹介の元グラウンドを行進して歩く。
他は1年2年3年と整列して座るがバスケ部はスタメンの2年だけなので古橋君、原君、山崎君、瀬戸君、花宮君と整列する。
「なまえチャン バスケ部勝ったらご褒美ちょうだい♪」
「マジバ奢ります」
「マジ?やったネ」
私のお小遣いじゃ、それが限界だ。

係の合図で第一走者達がスタートラインに並ぶ。
古橋君に一声かけると私を見て軽く頷いた。
ピストルの鳴り響く中 一斉に走り出す。やっぱり少しだけ古橋君は走るのが苦手みたい。
次の原君が並ぶ寸前私に笑みを見せる。
「応援ヨロシク!」
「心の中で応援するね」
最後に到着した古橋君からバトンを受け取った原君は、みるみる内に前の人との差を縮めて行く。
「っしゃ!俺も頑張らねーとな」
山崎君が立ち上がり伸びをして気合いを入れた。
「頑張って」
「おう」
1人追い抜かした原君が来た。
「ザキー、頼んだぜ」
「任せろ!」
バトンを受け取った山崎君は、うおらぁああ!と叫びながら走って行った。熱い。
1人追い抜いた!現在バスケ部は3位だ。
山崎君が2位の男子と差を詰める。もうすぐで追い抜きそうだが2位の男子もさせまいと振り切ろうとする。
「さてと、俺もがんばらねぇとな」
「瀬戸君頑張ってね」
「ん」
軽く返事をして立ち上がる。

結局 山崎君は2位の男子を追い抜かす事が出来ず瀬戸君へとバトンを回した。
「瀬戸!頼んだ!」
「おしっ」
口角を上げながら高身長ならではの長い脚で地面を蹴って走り出す。うん速い。
だが、2位の男子はサッカー部。やっぱり走るのに慣れている。
1位は陸上部だ。

「…花宮君も頑張って」
立ち上がろうとする彼にもエールを送る。
「バァカ」
言葉のキャッチボールが出来ない。

瀬戸君が2位で花宮君へとバトンを回した。
女子の声援が大きくなった。
アンカーは主将同士の争いが繰り広げられる。
他は3年生だというのに花宮君は臆する事もなく余裕さえ見える表情で颯爽と走り抜ける。
結果1位でゴールテープを切ってバスケ部が勝った。
退場する際、原君にご褒美楽しみにしてるよんっと言われてしまった。…お小遣い足りるだろうか。


応援団同士の対抗リレーは赤団1位青団2位白団3位という結果に終わり、これで全ての競技が終了した。
総合優勝は我が青団となり優勝旗を掲げた団長さんは誇らしげな表情だった。

閉会式も終わり自分の椅子を持ち教室に向かう。
すずちゃんと一緒にグラウンドを歩いていると すずちゃんが目配せをしてきたので後ろに視線を移すと古橋君が此方に近づいて来ていた。
「みょうじさん」
「どうしたの?」
握り締められた手を突き出し掌が開く。なんだなんだ?と すずちゃんも注目する。

「飴だ…」
すずちゃんが呟いた通り古橋君の掌にはイチゴとメロンの絵が描かれた飴が乗っていた。
「絆創膏のお礼だ」
「そんな、良いのに」
「高橋さんも良かったら」
「うわー、ありがとう」
そう言ってすずちゃんはメロン味の飴を取るので 私はイチゴ味の飴を古橋君の手から取った。
「ありがとう」
「問題ない」
踵を返して古橋君は戻って行った。
「何か意外ー。古橋君が飴をくれるなんて」
失礼ながら私も思った。
イチゴとメロンって女子か。

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