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□16:遊びましょ
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ある日の晩ご飯の時間 1人足りないなと思っていたら、瀬戸君だった。
「山崎君 瀬戸君は?寝てるとか?」
「当たり。起こしたけど飯いらないってよ」
本当によく寝るよね。寝る子は育つタイプか。


部屋に戻ると瀬戸君が起きてボーッとしてた。
未だ眠そうな顔を私に向ける。
「…皆は?」
「あー、花宮君がコンビニ行くって言ったら皆ついて行ったよ」
「そう、」
髪の毛を後方へ掻き上げた瀬戸君は幾分かしっかりした顔つきになると立ち上がる。

「あー、お腹すいた。俺もコンビニ行こ」
「あ、待って瀬戸君、ついて来て」
「ん?」

瀬戸君を引き連れて来たのは食堂。
冷蔵庫からおかずと残りの白米を取り出してレンジにそれぞれ入れる。
「お味噌汁もあ
「いる」
「…ちょっと待ってね」
レンジからおかずと白米をそれぞれ取り出してトレイに乗せてお箸を添えて座って待ってた瀬戸君の前に置いた。
またレンジで温めた味噌汁を運ぶ。
「熱いから気をつけてね」
「ふっ、何か
「お母さんみたいって言う?」
「あー先に言われちゃった」
勝った…。心でガッツポーズをする。

お茶の入ったコップをテーブルに置く。
「私、キッチンに居るから食べ終わったら声掛けてね」
「何でキッチン?」
「いや、私と居ても食べづら
「食べづらくないから此処居れば?」
「そうやって言葉を被せてくるのどうにか
「ならない」
「…はあ」
もう諦めよう。
ため息を溢して瀬戸君の座るテーブルの向かい側に座る。
「みょうじさんって」
ズ、と味噌汁を啜り瀬戸君が話しだす。
「年の割にはしっかりしてるね」
「…そうかな」
何かを感じたのか瀬戸君の言葉に少し戸惑う。
「頭悪いけどね。」
「…一言余計」
自分が頭良いからって…。
怪訝な表情で瀬戸君を見ていたら
廊下から何人かの足音が聞こえてきた。
食堂の入り口側に視線を送ると
原君と山崎君が通り過ぎようとしたが私達に気づく。
「あっれー?2人でご飯?抜けがけすんなよ瀬戸クーン」
「誘ったのはみょうじさんだけど」
「え、浮気?」
「俺を見んな」
もう突っ込むのも疲れる。
一気に騒々しくなった食堂に花宮君と古橋君が入ってくる。
「うるせーな、お前ら早くしろよ」
「ゴメンゴメン、ねなまえチャンもするよね?」
「? 何を?」
頭を軽く傾げると原君と山崎君が両手に持った袋を掲げてニカッと笑う。

「「花火!!」」



***

「よく花宮君が許可したね」

浜辺に部員全員が集まって花火を楽しむ。
丁度手に持っていた花火が消えてバケツの水に突っ込む山崎君に話しかける。
「コンビニ着いたら花火が全部半額でよ、原がせっかく海あるんだから花火しよーぜって言ったら今夜だけ許してくれたぜ」
「良かったね。花火のお金払うよ」
「気にすんな 原と俺の奢り」
親指を立ててニッと笑う山崎君イケメンですね。

「こらザキ、自分ばっか良い顔すんなよー」
「痛っ!」
原君が使用済みの花火を山崎君の背中に刺す。
「奢りって言っても俺が6:4で出したけどねん」
「あ、細けえぞ原っ」
本当にこの2人が揃うと騒がしくなるのは常だな。
「おい、打ち上げ連発するから来いよ」
花宮君が打ち上げ花火を持って呼びかける。意外に彼もノリノリだな。

打ち上げ花火を4個並べて
それぞれに火を点ける部員達。
一気に火柱が上がり夜空に昇って輝く。
もうすぐ合宿も終わりを迎える。
今夜は良い思い出となるだろう。
締めの打ち上げ花火が全て消えて辺りは暗闇に包まれた。
「片付け済ませてさっさと寝るぞ」
花宮君の指示を受け後片付けを始める部員達。
私もバケツを持って浜辺を歩く。
「楽しかった?」
原君に聞かれたので頷くと満足そうに彼は笑う。

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