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□14:彼女について〜山崎side〜
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1学期の途中から俺のクラスに彼女は転入して来た。
転入生の話は聞いていたので どんな奴かは話題の中心に挙がっていた。

担任の村本と一緒に教室に入る彼女は見た目は普通。可もなく不可も無く。短めの挨拶をして空いてる席に座る。
花宮の猫被りに騙されて 恥ずかしそうに言葉を交わしていた。
俺は興味を無くし前を向いた。

数日後、朝練を終えて校舎に入る。今日 日直の相手誰だっけ?ダリ〜な。思わず欠伸が出る。
階段を昇ると前方に女子が居たので追い越そうとしたら前につんのめり転びそうになったので咄嗟に腕を掴む。ほせーし筋肉のない柔らかい腕だな…ってバカか俺!
振り向いた女子は転入生のみょうじさんだった。
手には日誌を持っている。日直 みょうじさんとか。
特に会話も無く2人で教室に入ると花宮にクギを刺された。

お前がサボると委員長の俺の仕事が増える。

と言わんばかりの目だ。

みょうじさんは日直の仕事を淡々とこなしていく。黒板もキレイに消してチョークの粉も雑巾で授業が終わる毎に拭いてる。細けえな。昼休みに視聴覚室の場所を伝えなかった際は息を切らし走って来た彼女を見て申し訳なく思い謝ったが。
放課後 みょうじさんが言うから俺は日直の仕事を任せて部活に向かった。女子に気の利く事言われたの久しぶりだな。
部室に入ると花宮が俺を待っていた様で
「みょうじさんは帰ったか?」
「いや、まだ居ると思うけど」
「そうか」
「なんで?」
フンっと素の笑みを浮かべた花宮。
「勧誘だ」
そう告げて部室の外へと消える。
マジかよ。

遠慮気味に現れたみょうじさんをチラ見する。
部室に案内して来た花宮が戻って来た。
「マネージャー業務をさせるみょうじなまえ。雑用はあの女に頼め」
部員達にそう伝え指示を始める。
暫くしてヨタヨタとボトルを運ぶみょうじさんが体育館に入って来た。見兼ねて籠を運んだ。俺からしたら軽い。
部活終了まで真面目に業務をこなすみょうじさんは他の女子みてーに花宮に纏わり付かず不備なくマネージャーを全うした。
コイツならマネージャーやれんじゃね?微かな期待とは裏腹にみょうじさんは断った。

彼女を帰した後、花宮に呼ばれた。
「ヤマ お前明日あの女にマネージャーしない事残念そうに言え」
「へ?」
「あの女の心はくすぶっておいたからよ、頼むぜ」
どういう事か良くわからず次の日花宮に目で合図され言われた通りに残念がってみた。
本音を言えばマジで残念に思っていたので嘘はついてない。
少し表情を曇らせたみょうじさんは何を思っているのか。

その日の部活でマネージャーとして入部したのは驚いたが花宮の思惑通りなんだろうな。

【なまえちゃんの彼氏になったからヨロシク!】
突然、高橋から意味不なメールをもらいすぐさま教室に戻り高橋を見つけて問いただす。その時目が合ったみょうじさんを見て気恥ずかしさで顔を背けた。

理由を聞けば花宮関連で防衛対策の様だ。いくら何でも恋人って設定はなぁ…、俺彼女居た事ないから無理っ。
渋っていると申し訳なさそうにするみょうじさんに慌てて了承してしまっていた。
ま、フリだからな。部活中からかう原は一応蹴っといた。

夏休みの部活休みで偶然カラオケで遭遇した高橋とみょうじさんと同室した際は俺の名前呼びで一悶着あった。心の中ではなまえと何度も呼んだ。だが、恥ずかしすぎるだろ!
みょうじの方がまだマシって事だよっ、クソ。
アドレスを交換した時、なまえかみょうじどっちで登録するか悩んだのは絶対内緒である。

彼女は真面目で自分一人で頑張るから無理してねーかなと放っておけない。
合宿中もチョコチョコ手伝ってはいるが彼女から頼んで来る事は一度もないのが少し寂しいかな。

そして雨漏り事件である。
同じ部屋で過ごす事になってしまい喜ぶ原を叩いた。
女子が1人居るだけで華がある。
寝る為に隣になったみょうじからシャンプーのいい匂いがした。やべ、俺ヘンタイか。
暗闇のおかげで顔赤いの見られなくて良かった。
ギュッと目を閉じ寝る事に集中する。今夜寝れなかったらどうしよう!

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