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□9:高校生の休日
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期末テストが終わった。
私のない頭をフル回転させたものの赤点ギリギリだった。さすが進学校。今から2学期のテストが怖い。夏休み楽しみだけど勉強しまくらなくては。
「お前見た目に反してバカだな」
「…花宮君 勝手に成績表見ないで」
「フハッ。部活の仕事もしっかりやれよ?合宿もあるしな」
私に悪態をついて先に部活へと向かう彼を眉を顰めて見つめた。
「合宿…」
そんなもんがあるのか。肩を落としながら自分も部活へと向かった。


今日の業務も無事に終え1人校門へと歩く。
背の高い人影が見えたので、山崎君かな?と予想する。
「あ」
「送って行く」
予想外な古橋君だった。



***

静寂が2人を包み込む。
古橋君とは話した事も2人っきりになった事もないし何を考えてるのか分からない為話題がない。
なのに何故私と帰ってるのだろうか?
チラリと左の古橋君の顔を見上げる。すると横目で古橋君が私を見た。目が合った。咄嗟に反らしてしまった。心臓の鼓動が早くなる。
「……ザキに頼まれたんだ」
唐突に古橋君が口を開く。
「山崎君に?」
「ああ。部活が終わったら用事があるとかで一緒に帰れないからと」
「別に良いのに」
良い人代表の彼らしいなと表情が少し緩む。
「花宮と瀬戸は帰り道違うし原は…知り合いと遊びながら帰るらしいから俺が残った」
知り合いって言葉濁した辺り女の子と遊びに行ったっぽいな。
「でも、古橋君いつも花宮君達と帰るよね?」
「大丈夫だ」
「ありがとう、ごめんね」
「気にするな」
その言葉を最後に駅まで数分また沈黙が続いた。



***

夏休みに突入した。
部活はいつも通りあるし、課題もあるしで浮かれてる余裕がない。
もうすぐ合宿もある。たまの休みは睡眠に費やして体力温存。
そんな貴重な部活休みの日に私のスマホが着信を告げた。
「もしもし」
「あ、なまえちゃん?今大丈夫かな?」
「うん大丈夫だよ。すずちゃんどうしたの?」
「今日部活休みでしょ、良かったら遊びに行かない?」
友達からの誘いだ、無下には出来ない。何より気晴らしも必要だ。私は彼女の誘いを承諾して待ち合わせ場所に向かう為、準備をして家を出た。

すずちゃんとの待ち合わせ場所に行く道すがら何人かがバスケをしてるのを見つけた。
ストリートバスケというヤツ。
ゆっくり歩きながら眺める。
あ、あの赤い髪の男の人がダンクシュートした、凄い。
うわ、誰も居ない場所からボールが飛んで来た。
あれ?あの水色の髪の男の人いつからあそこに?
やけに上手いバスケの光景にいつの間にか足が止まってた。
ウチのバスケ部と同じくらい強そう…。そんな事を考えてるとスマホが鳴った。
すずちゃんからのメールで我に返り急いで待ち合わせ場所に走る。

久しぶりに友達と遊んだ。
若者らしく流行りのパンケーキ屋さんに行ったりプリクラを撮ったりした。最近のプリクラ凄い。目がデカいし脚が長い。
今はカラオケの中に居る。最新曲歌えないので、懐メロ専門ね。
「なまえちゃん マニアック〜」
すずちゃんにそう言われて苦笑いしか浮かべない。
「ごめん、ちょっとトイレ!」
「うん」
すずちゃんがお手洗いに行く為部屋を出た。
明日からまた部活だなとバッグからプリクラを取り出し眺める。
ガチャとドアが開く音がしたので視線を移す。
「おかえり…」
「ヤッホー!なまえチャン♪」
「は?え?原君?」
現れたのはまさかの原君だった。
「よっ!」
「山崎君も」
原君の隣から山崎君が顔を出す。
「高橋にそこで会った」
山崎君がそう言うと、すずちゃんが原君の横を通って部屋に入って来た。
「この2人もさっき来たんだってー。折角だから一緒に歌おうよ!」
「歌おうよん♪」
便乗して原君がのってくる。
山崎君は、遠慮そうにしている。
別に断る理由ないもんね。
「うん、いいよ」
「よっしゃあ。さっすが
なまえチャン」
「俺、店員に言ってくるわ」
「オッケー」
一気に賑やかになりました。

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