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□8:女子の情報網はハンパない
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あっと言う間に話が広がり
お陰で嫌な呼び出しとか嫌がらせはないけど
「誰と付き合ってる事にする?」
「いや、勝手に決めるのは相手に悪いよ」
楽しそうなすずちゃんに困惑気味の私。
「原君はダメかなー。遊び人だし。それとも年下いっちゃう?」
「いやいやいや、」
何かメニューを選ぶみたいな感覚で言われても。
いつもの昼休み、話題はもっぱら私の彼氏選びで…。
するとクラスの女子が2人私とすずちゃんに話しかける。
「みょうじさんの彼氏って原君かザキどっちかでしょー?昨日3人で帰ってたの見たよ」
「転入早々、彼氏出来るとか羨ましい!リア充すぎるー!」
女子って本当この手の話題好きだよね。キャピキャピしてて眩しい。
「ねえねえ、どっちと付き合ってるの?」
「え、いや、ちが
「ザキだよ」
「うよ…って、すずちゃん?!」
否定しようとしたら、すずちゃんがサラリと応えた。
「うっそ?!ザキだったの?」
「確かに隣歩いてたしな〜、納得」
そうはしゃいで、ザキにも聞いてこようーと言って2人は居なくなった。
「ちょ、すずちゃんっ、ダメだって!」
「だってー。原君はなまえちゃんには合わないし、消去法だよ〜」
「直ぐにバレると思うけど…」
ふふっと笑いながらスマホを操作するすずちゃん。
しばらくすると山崎君が真っ赤な顔で現れた。
「おいっ高橋!なんだよコレ!」
山崎君が携帯の画面を見せる。
私と目が合うと頭を掻いて視線を逸らされた。
「なまえちゃんの彼氏になれって、まんまだけど?」
「〜〜、だから!なんで!」
「ちょっと耳貸せ、返すから」
すずちゃんってたまに男前だよね。
「花宮君ファンからなまえちゃんを守る為にきまってるでしょ!だから協力しなさい」
小声で説明するすずちゃんに納得したのか、冷静さを取り戻す山崎君。
「でも、何で俺がみょうじさんのか、かか彼氏に」
あ、やっぱり迷惑だよね。勝手に決めるのは。
「ごめんね山崎君。嫌だよね」
「え!だ、大丈夫っみょうじさんを助けると思って、つきあう!付き合うからっ」
何て良い人なんだ。変な詐欺とかに狙われなきゃいいけど。
「無理しないでね?」
「む、無理してねーし!」
「まっしばらくの間だけよ。宜しく頼むわよ?」
部活が始まる頃には私は【山崎の彼女】として定着していた。
噂広まるの早すぎ!



***

「えーー?俺が彼氏役やりたかったなぁ。面白そうだし」
「…おもしろがられても」
山崎君から事情を聞いた原君にちょっかいを出される。
今日は手繋いで帰るか腕組んで帰るか聞くから山崎君に蹴られた。原君がね。
「良かったじゃねーかヤマ。嘘でも彼女出来てよ」
まさかの花宮君までもが、からかって来る。
「元を辿れば花宮君が原因だけど」
「あ?」
「…なんでもないです」
花宮君に威圧され逃げる様に部室へと走った。

1学期の途中に転入してきて
もう少ししたら夏休みだ。
この噂も2学期になる頃には落ち着いてるだろう。
何より山崎君に申し訳ないしね、うん。

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