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□6:バスケ知識ゼロですが何か?
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「なまえちゃん男子バスケ部のマネージャーになったの?凄いね」
翌日の昼休みに友達の すずちゃんに報告したら意外とされた。
「凄い?かな?」
「あ、そっかなまえちゃん転入生だから知らないもんね。ウチのバスケ部今年から3年生も監督もマネージャーも次々に辞めていってね、今は花宮君が主将して監督もしてるんだよ〜」
「出木杉君もビックリだね」
「出木杉君?ダレ?」
「ごめん、やっぱり何でもない。話続けて」
ココでは、通じないのか。出木杉君。
「?でね、花宮君モテるじゃん?だからマネージャー志望者沢山居たんだけど彼のお眼鏡に叶うコ中々居なかったんだよ〜」
「単にバスケ部目当てじゃなくて花宮君目当てって事だね」
「そ!でもなまえちゃんは、バスケ部目当てなの?」
「う〜ん、簡単に言えば」
お弁当の卵焼きをつついてから言い終えて口に運ぶ。
「でも花宮君のファンには誤解されるかもね」
「うぐっ、ごほごほ!……ファン、誤解、ごほっ」
「なまえちゃん落ち着いて。はいお茶」
すずちゃんに手渡されたマイボトルのお茶を飲んで一息つく。
「…私がマネージャーになったら定番の嫌がらせフラグ立つ?」
「立つね」
「最悪だ」
深いため息を吐く。女子怖い。
項垂れる私を頬杖をついて眺めてるすずちゃん。視線をどっか他に移すと突然何か閃いた表情を見せた。
「取り敢えずさなまえちゃんが花宮君目当てじゃないって認識させればいいんだよね」
「何か方法あるの?」
「うん!」
何かを企むすずちゃんの顔が小悪魔に見えた。





***

放課後、体育館備え付きの女子更衣室で制服からジャージに着替える。
今まで制服で作業してたから何となく動きやすい。筋肉痛はまだ完治してないけれど。
女子更衣室から出て部室に向かう途中、前髪男子に会った。
「あっれージャージにしたの?制服の方が良いのに〜」
「え、なんで?」
「目に入る範囲でスカートなびかせて動き回ってくれたらテンション上がるじゃん?」
「…セクハラはダメですよ」
オープンだ。チャラ男め。その前髪切ってしまいたい。
「なんで敬語ー?あ、俺原一哉。宜しくなまえチャン」
「宜しく」
原…前に視聴覚室に居たな。花宮君が呼んでたし。
「好きなタイプは脚のきれいなコ!なまえチャン、もちっとスカート短くして後ジャージじゃなくてショーパンにして〜」
「せ、セクハラです!」
私は隙をついて原君から逃げた。
苦手だチャラ男。
私にはマネージャー業務は勿論、バスケの知識ゼロな為勉強もしないといけない。PFとかDFとか何。
ドリンク作りを済ませて空いた時間で部員の練習風景を眺める。
「みょうじさん、そろそろドリンク持って来て」
「あ、はい」
花宮君に指示されて部室へとドリンクを取りに行く。

「!?」
部室のドアを開けて吃驚した。
人が寝てる…。
ご丁寧にアイマスクをしてベンチに横になってた。身長が高いのでベンチから足がはみ出してるけど。
誰だっけこの人。確か同じ2年だったよね。サボり?
「お、起きてー。怒られるよー」
「ぐおー」
爆睡だな。今度は身体を揺すってみた。
「ねえ!君起きて!」
「…〜んー、ワックス」
「え、ワックス?」
「ん。気合入れるから」
キョロキョロと辺りを見回したらベンチの下にヘアワックスがあったので、それを取り彼に渡す。
「ありがと」
彼はアイマスクを取るとヘアワックスを髪に撫でつけた。まさかのオールバックだ。
「さて、練習しよ。…君バスケ部のマネージャーになったんだっけ?」
「あ2年のみょうじ
「みょうじなまえさんでしょ。俺は瀬戸健太郎」
「瀬戸君ね、宜しくお願いします」
「ん。宜しくね」
「あ、いけない!ドリンク持っていかなきゃ、」
挨拶もそこそこに急いで冷蔵庫からボトルを取り出し籠に入れていく。
「手伝うよ」
「ありがとうございます」
おデコのほくろを押してみたくなりました。

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