中編

□第二章anoter side
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練習が半日で終わる今日、ずっと集中できずにいてブライアンにいつもの半日練習よりもっと早めに切り上げられてしまった。
音楽を聴きながら家路に着く。
昨日名前さんに会ってからずっと彼女のことが頭から離れない。一目惚れでもしたのかと思うが、そんな考えを振り払うように音楽を止めた。
するとタオルを落としたのに気づき、後ろを振り返る。
     するとそこには今日一日考えていた彼女の姿があった。
彼女も驚いているようで口をぱくぱくとさせていた。
「ゆかりさん…昨日ぶりですね」
声が震えていないかそれだけを心配しながらそう声をかける。
そのあとは意外とすらすらと言葉が出てきた。彼女が去ろうとする。会えただけでもうれしいのに欲が出てお茶に誘ってしまったが承諾してもらえて、自分の行きつけのカフェに向かう。
そこのマスターは面白い人なんだが、日本人の女性も通ってくれているんだ、今度紹介したい。彼女は人を惹きつけるなにかがあるんだ。綺麗だよと最近なぜかいつも言ってくる。
でも中々時間帯が合わず会ったことはなかった。
どうせ名前さんには適わないだろうと思いながら店に入る。するとマスターが僕たちを見るなり
「なんだ。紹介する前に会ったか二人とも。」
と言って笑った。
するとマスターに手招きされて、彼女も君と同じアールグレイをいつも頼むんだと耳打ちされた。
少し気恥ずかしくなったがそれを振り払うように彼女と会話をつづけた。
彼女の過去は想像以上に破天荒…というかあまり聞かない過去で驚いた。そんなことをやってのけるくらいの賢さと行動力があるのになぜか自信なさげな彼女に思わず力説をふるいそうになってしまったがすんでのところで我に返った。

会話が楽しすぎて日が傾いて暗くなるまで時間に気づけなかった。
また送りますと言うが彼女は渋っていて申し訳ないとかなんとか言う彼女とともに、会計のために席を立つ。
飲み物しか飲んでなかったので大した金額ではなかった。二人分払おうとすると彼女が慌てて店員さんとの間に割り込んできて、送っていただく代わりに払いますという律儀な名前さんにちょっと笑ってしまった。

家まで送っている最中、ぽつりぽつりと会話を交わす。少し癒しを覚えていると彼女の部屋の前までついてしまって名残惜しさを覚える。
二日連続なんて迷惑でしかないのでそのまま帰ろうと思った矢先名前さんがこちらを向いて口を開いた。
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