中編

□第二章
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羽生さんが去った後自分のベッドに飛び込んでさっきまでのことを思い返す。
幸せなんて一言で片づけられる出来事ではなかった。
夢だったとしてもこれ以上に素敵な夢はないだろう。
思わず頬を何度もつねった。確かに痛みを感じて、カップが二つ出ていて、そのカップの隣にプルシェンコ氏のサイン本も置いてあって…。
なんだか夢見ごこちだった。ひとまず洗い物をして、いつものようにシャワーを浴びる。お風呂を出た後もう一度部屋を見回してさっきまであの人がここにいたと思うとなんだか自分の部屋じゃないかのようにリラックスできないし、鼓動の速さが耳に響く。
生で見られた彼のいろんな表情が頭の中でぐるぐると回る。
思い出すだけで顔が熱くなって一人の部屋でぽつりとつぶやく。
「一目惚れ…しちゃったかな。」
いやいやそんなことはないと飛び起きて首を振る
。相手は世界的にも超有名なフィギュアスケーターなのになにを言っているのか自分はと自分に軽く平手打ちをした。
とりあえず寝なければ明日に響くので、電気を消して目を閉じる。だけど思い浮かぶのはさっきのことばかりで、寝るに寝れないじゃないかと思い、レポートのことを思い出して気分が急降下したところで落ち着いて眠りについた。
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