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□だから、まつ。
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夕日に照らされた公園は美しい。
彼ならそう表現するだろうな、とかんがえて日和花は何時もの場所へと向かう。
大学の帰り道。たまたま通る家の近くにある公園。今日も彼はいるのだろうと、少しだけ期待しながら歩いた。
「フッ、夕日に照らされた公園は美しい…」
「…言うと思った。」
彼、松野カラ松は、日和花に背中を見せたままそう呟いた。
相変わらずキザだ、痛い、カッコつけたがりだ。
「此処でまた、俺達は出会ってしまったのか…」
「いや、毎日通ってるから。」
サングラス、黒い革ジャンにラメ入りのズボン。とそんな特徴的な格好で(この辺を)うろつくのはカラ松しかいない。悪い意味ではなく、日和花はよく恥ずかしくないなあとカラ松に対して関心していたのだった。

二人は公園の湖に浮かぶ燃える様な夕焼けを見たままでいた。カラ松も日和花も互いを見ない。二人の瞳は夕日だけを映していた。
「…確かに、綺麗、かも。」
「だろ?」
カラ松は「…まあ、」と呟きながらサングラスを外すと湖に投げ込んだ。日和花がそれを見ていると、カラ松が日和花の顔に手を添える。日和花はカラ松の方を向いた。
「お前の瞳程ではないがな。」
「…全く、そうやって調子にのる。」
日和花は顔に添えられれたカラ松の手を握ると、その手を離さないままで手を下ろして歩く。それにカラ松もつられて歩き始めた。
「俺とのあの夕日のような燃える夜をご所望かいカラ松princess?」
「ぷっ、何それ。…ふふっ」
二人は何時ものように公園を出た。
「はいはい。そんなプリンセスに毎日タダ飯たかるカラ松さん。今日は何をご所望で?」
日和花はそう言ってカラ松をからかうとカラ松は少しだけ唸ってから、突然日和花の手を引いた。いきなりであった為に日和花は体制を崩す。カラ松はそんな風になるのを分かっていたように日和花の腰に手を伸ばすと、日和花を抱える様にして抱き上げる。所謂お姫様抱っこ、というやつだ。
「そうだな、日和花の料理なら、何でも構わない。」
カラ松がそう言うと日和花は少しだけ赤くなる。が、すぐに戻ってカラ松を殴り飛ばした。
「もう、調子に乗るな!バカ松!」
そう言って去りゆく日和花を、ボロボロになりながらもカラ松は「フッ、素直じゃない…」とかっこつけながら彼女を追いかけた。

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