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□妹orライバル
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※キョウヤ妹夢主

「もういい!お兄ちゃんのバカ!」
そう言って日和花は兄であるキョウヤの頬を叩いて玄関を飛び出した。兄が(何時ものように)怖い顔をしていた様に見えたがきっと気のせいであると日和花はひたすら走った。
そもそも、兄が悪いのだ。と日和花は先程の事を思い出す(思い出すだけで腹が立つ)。
日和花の兄、盾神キョウヤは元々不良である。今は足を洗ったようで、あからさまに不良!といった行動はしなくなったがそれでも癖なのか態度や口調は悪いままであった。
がしかし、キョウヤの世界はあからさまにある人物を中心に動いていた。
ベイブレード界で知らぬ者はいない、あのバトルブレーダーズの優勝者の鋼銀河。どうやら兄と仲が良い様で(キョウヤはこういうと決まって否定するが)よく遊んで、ベイバトルをしていた。いくら私が言っても不良をやめなかったあの兄が、まさか、健全にベイブレードをしているだなんて!
日和花は戦慄した。なんでも日和花がいくら言っても聞く耳を持たずに不良とつるんでいたあのキョウヤを改心(?)させたのは鋼銀河だというではないか。日和花は悔しかった。何故兄は赤の他人の言う事を素直に聞いて私の言うは聞かなかったのか。日和花の中にはそういった思いが募っていったのである。
数分前の騒動もそれが原因で、よは『妹を置いて友人と遊びに行ってしまう兄』
という事が許せなかったと、そういう事である。
「ばかばか…!お兄ちゃんなんて嫌い…!」
いくら日和花はよく出来た妹といってもまだ幼い。兄と遊びたいといった欲は当然でもあった。それをことごとく断られたとあっては流石に堪えるものである。今日はたまたま、それが爆発してしまったという訳だ。

少し遠くの河川敷に着いた。日和花は走り疲れたので適当に腰を下ろした。よく見ると、日和花がもっと小さな頃にキョウヤとカケル(今は海外にいる弟)と共に遊んだ場所であった。
あの時は良かった。そう考えると日和花は何だか悲しくなってきて涙が出てきてしまった。
「おにいちゃん…」
「こんな所で風邪ひいても知らねぇぞ」
日和花が呟くと後ろから馴染みのある声が聞こえる。振り向くと、そこには兄、キョウヤが少し息を切らしながら立っていた。
「お、おにいちゃん…!」
「なっ、ばか!いきなり抱きつくんじゃねぇ!」
日和花は嬉しかった。キョウヤが鋼銀河ではなく、自分を追いかけて来てくれたことが何より嬉しかった。
「…クソッ…泣いてんじゃねぇよ…」
キョウヤは荒っぽい口調で文句を垂れながら日和花の頭を撫でる。
日和花はさ知っていた。兄は誰より口が悪いが、その実世話焼きで照れ屋である事。忙しい両親に変わって、兄が自分を世話してくれた事。
やはり兄は兄だ。私の兄なのだ。
日和花は兄をぎゅっと抱き締める。
「おい日和花、そろそろ帰るぞ。」
少々恥ずかしそうに告げたキョウヤは日和花に右手を出す。日和花は元気よく返事をすると、兄の右手を握った。



「あれお兄ちゃん?銀河さんはいいの?」
「るせぇ!!今日は日和花といろって言われたんだよ!!!!」

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