長いお話

□漂流者3
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「ふぅ…沢山買ってしまいましたね…」
「ええ。この時期は野菜が安くて美味しいですからね〜♪ついつい買っちゃいます」
二人で大量に野菜の入ったビニールを提げ、レイとシンは帰路についていた。まだ朝早いためか、道路には人が殆んどいない。
観光客が絶えないこの町では、店が良く栄えている。ついでに、人も増えてはいるが、その殆どはバカンスや旅行客が多いため、こんな時間に起きているのは店の人くらいなものだった。
二人で会話を楽しみつつ、地域の人と挨拶をかわす、なんということのない日常だった。
━━━━だが。

「あっ!レイ、シン!早く来て〜!」
あと少しで家、というときに、マヤが家から飛び出してきた。
「な、何ですかマヤ」
「大変なの!とにかく来て!」
焦るマヤに引っ張られつつも訳が分からない二人は、首を傾げるばかりであった。

誘われるまま2階の寝室に着くと、マヤが勢いよくそのドアを開いた。
「キラ兄さん、二人帰ってきたよ!」
「おお、マヤよくやった!」
「い、一体何事ですか?」
シンが控えめに聞くと、途端にキラとマヤは申し訳なさそうな顔をした。
何か躊躇っていたが、やがてキラが口を開いた。
「……英語、喋れるか?」
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