長いお話

□漂流者
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静かな夜だった。

微かに香る潮。
眼前には、闇より深い深淵。

闇夜に、白銀が煌めいた。



甲板に、一人の男が立っている。
静かに音をたてる海を見つめて。
風になびく見事な白銀の髪。
しかしその顔は、悲哀に満ちていた。




甲板に立った男は、唇を噛みしめ、忌々しそうに『何か』を呟くと、




夜の海に、身を投げた。

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