No Girls No Life

□episode 1
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2015年、2月22日。

この日は彼女たちにとって
いや、彼女達に関わる全ての人達にとって特別な日であった。

場所は埼玉、西武ドーム。
乃木坂46のバースデーライブ。

節目を迎えた彼女たちだが、ドームと言えど野外の、しかも長時間のライブというのはとてつもなくハードで厳しいものであった。

と言いたいのだが、それを吹き飛ばす力があるのが今の彼女達。
熱を帯びたスタンドからファンの方々の声援が飛び交い、無事にライブは成功したかに思えた。






ただ、そのある一幕から俺の人生は変わったのかもしれない。変わっていたのかもしれない。











終盤に差し掛かった頃に事件は起こった。
アンコールで突如、まぁある程度予想はしていたのだが例の"サプライズ"が起こった。

これは彼女達はもちろん、俺達にも聞かされていない話だったらしい。















乃木坂46 新プロジェクトメンバー1期生募集決定









会場にいる誰もが予想していなかっただろう。
あのざわつき、どよめきは今でも鮮明に覚えている。











『へぇ、新プロジェクトか……』




「秋元さんもやっぱ予想を超えてくるね。ね、チョコ。」




『あ、友ちゃん。お疲れお疲れ。』











この人は本多友美。俺の上司、というものうちの会社は何だか特殊で、実質半年程しか変わらないだが割とフレンドリーに、"接しろ"と言われ続けていたので気付けばそんなことも気にしなくなっていた。



ちなみにチョコというのは俺の会社でのあだ名らしい。
友ちゃんがつけたのだが、俺がバレンタインに『チョコなんて』と口にしたことが相当面白かったらしく、それ以降会社での俺のあだ名はチョコ。不本意ではあるが今では愛嬌のあるキャラみたいで少し気に入り始めている。















「新プロジェクトって妹分って事かな?」




『そうじゃない?松井さんもさっきステージでそんなこと言ってたし。』




「またグループ増えるのかー。どうしよ、あっちに行ってくださいって上から言われたら。」




『その時はその時でしょ。まぁないと思うけど。』




「チョコ。あんたそれアタシの事知っててわざと言ってるでしょ?」




『いえいえ、滅相もない。NMBスタッフから助っ人が来るとは聞いてましたが、まさかこんなべっぴんさんが来るなんて思ってもいませんでしたよ。……ポンコツだけど。』




「チョコーー!!」











話は逸れてしまったのだが、友ちゃんは元々NMBのスタッフとしてメンバーのマネージメントを務める何人かの一人だった。確か2013年にスタッフが一人抜けたかなんだかで友ちゃんが推薦されたらしい、何故だかは知らない。知らない方が身のためだとも思う。……ポンコツだし。


俺は乃木坂デビューから少し経った頃にこっちに配属が決まり、いろんな経験を経て今は彼女と同様、ここのマネージメントをする一人となっている。









『ほらほら、もうアンコールも終わるよ。そんなカッカしないでさ、きっと高山とか結構気にするタイプだから。ケアよろしくな。』



「どの立場で言ってんのよ、アンタは上司か!言ってもなぁちゃんもそれは同じだから、てかなぁちゃんの方が気にするだろうから、しっかりやりなさいよ。」












まさかこの日を境に、友ちゃんとそしてメンバー達と疎遠になっていくなんてこのときはまだ知るはずもなかったんだ。
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