Seize the dream!!
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『……………………』
「ま、まぁ、お兄ちゃん。何も突然のことなんだからさ。」
『……分かってる。けど、分かんない。何が起こってるんだか……』
「だよねー……」
[ごめん。好きな人ができた。]
絵梨花からのその連絡に真っ白になっていた俺はただただその画面を見続けていた。
日奈子もバツが悪そうな顔をしているが、何をしてあげれば良いのか分からないのだろう。ただ声をかけている、そんな感じだ。
『俺、なんかしたのかな。』
「でもこないだだってみんなでご飯食べたじゃん。それなのに急すぎない?」
『そうだよなぁ。はぁ……』
「分からなくもないけどさ、これじゃ一方的すぎるし、とりあえず話聞いた方がいいと思うよ?」
確かに日奈子の言う通りかもしれない。
言われたこっちとしては何が起こっているのか理解できていないくらいに急すぎる。ろくな話も聞けていない。
まずは絵梨花に何があったのかを聞く必要があるのではないだろうか。
『そう、だな。ありがと、日奈子。』
「こんなときにありがとうなんか言わないもんだよ。絵梨花ちゃんのことだし、なんかあったんだよ、きっと。」
そう言う日奈子の顔を見ると、彼女は涙を浮かべながら笑っていた。
良い妹を持った、今までこれっぽっちも思ったことなんか無かったけど、初めてそう思ったかもしれない。
だからやっぱり。
ありがとう、日奈子。