No Girls No Life

□episode 1
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"応接室"






そう書かれた札がある扉の前で俺は一呼吸置いた。
その間にこれでもかというくらいに頭を回転させていた。


俺は何をやらかした?
ひょっとして西野のスケジュールパンパンにしすぎた?
西野に何か不適切なこと言った?
運営批判とか……聞かれてたのかな?
ただ単に、リストラ?
いやいや、ひょっとしたら西野から他のメンバーに移動ってこともあるし。
2期生のマネージメントやれって言われるのかも。
待てよ、合同マネージャーだっけか、あれを任されたり。
それはそれで不安だ!
やりがいあるだろうけど俺にはまだ早いって!
ってプラスに考えてるけど、本当にそうとは限らないしな……
あー、もうどうにでもなれ!その時はその時だ!








『失礼します!』









意を決して中へ入ると、そこにいた"上"の人に驚かされた。










「おぉ、来たかね。葛城琉威くん、またの名をチョコくん。」




『あ、あ、秋元さん……ご、ご無沙汰しております……』








圧倒的なオーラを放つその"上"の人こそが乃木坂を含めたグループプロデューサー、秋元康だった。










「確か君と話すのは西野に初めてセンターを任せたとき以来だったかね。いやぁ、やっぱり君に彼女を託してよかったよ。」




『い、いや。あれは彼女の頑張りが報われたと言いますか、わ、私は何も……彼女をストレスフリーにさせることが精一杯でしたから……』




「それも才能だろ?君の場合は努力、と言った方が正しいのかな?」




『滅相もないです……』









意味ありげな笑みを浮かべる中、俺は緊張とその人のオーラに圧倒されていた。









「で、だ。君に用件があるんだ。本題と言った方がいいのかね。」




『はい……』




「今日のアンコールのサプライズ、どう感じた?」




『し、新プロジェクトってやつですか……?』




「うむ、間違いない。」




『どうと言われましても……私の首の突っ込むところでもないので……これからの西野を始めとしたメンバーケアに専念しなくては、と。』




「君は堅実だ。真面目だね、噂通りだ。」




『そ、そんなことは……っ!?』









その時、俺は見てしまった。
その人、秋元康の意味ありげな笑みが実に恐ろしいものであるのかを。


俺が言葉に迷いながら下を向けていた視線を上げたとき、1枚の紙をこちらに向けながら、笑って言った。






「君をその新プロジェクトの合同マネージャーに任命する。」
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