No Girls No Life

□episode 1
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ライブ終了後、俺は反省会を前に担当する西野七瀬を探していた。










『友ちゃ……っんん!本多さん、西野見ませんでした?』




「何?チョコ、メンバーいたって気にしなくていいっていつも言ってるじゃん。ったくー。ね、かずみん?」




「そうだよ、チョコさん!あ、そうそう。なぁちゃん、今お兄さん来てたらしくて向こうで話してるって。」




『おいおい、聞いてないよ……自由だな、アイツも。ありがとね、高山。』




「はーい!」




「ちょ、アタシには何もないの?せめて、君がいなかったらどうなってたかと思ったよ、くらい言ってもさ。」




『友ちゃん……その発言、マジで謎。』












気にしないことにして、高山の言った通り西野のもとへと向かった。
やはり彼女は楽屋近くのスペースにお兄さんと数人のメンバーと共にいた。

そしてお兄さんが戻るのを見送ると同時に彼女を呼んだ。










『西野、西野。』




「あ、葛城さん。ごめんなさい、今日お兄ちゃん来ること伝えてなかったやんな?」




『ったく、探したぞ。ま、高山が言ってくれたから分かったけど聞いてなかったら今頃俺迷子だったよ。』




「それは言い過ぎやろ。ホンマにおもろいわ、葛城さん。」










俺の担当する西野七瀬はこのグループ内で今や欠かせない存在となっている。不動のセンターになりつつあり、TVや雑誌の単独出演の増えている頃だった。
彼女は俺がここに入った当初から見ていたので、その活躍ぶりには鼻が高い。最も俺の出る幕ではないのが確かだが。何だか今では親戚のおじさんおばさん気分で自慢したくなる存在だ、言わないけど。








「そういや新しいグループできるって。」




『あぁ、見てたよ裏で。何もないといいなと思いながら見てたけど相変わらず俺にも上の考えてることは分かんないや。』




「そんなこと言うたら仕事クビになんで?その、上の人から。」




『ちょ、冗談よせよ……』









笑いながら言い放つ西野に少し怯えていると遠くから友ちゃんの声がした。










「チョコー!チョコいるー?」




『!!……はい!はい!います!』




「おぉ、犬みたいだね。チョコだし。」




『……大勢の前でやめてもらっていいですか。チョコって呼ぶの。メンバーいるし……』




「気にすんな気にすんな!あ、そうそう。上が呼んでる。チョコのこと。」




『はい?何で?』




「知りません。神様じゃないんで。」




『そこまで聞いてないし……で、どこすか?』




「応接室?楽屋の近くにあるって。アンタ何かやらかした?ひょっとして運営批判とか……」




『ちょ、冗談よせよ……』










数分前の出来事が蘇る。
確かに運営批判と捉えられてもおかしくない事を言ったかもしれない。
西野の発言が現実味を帯びていく気がして正直震えた。










「嘘はアカンで?」



『に、西野まで……とりあえず向かいます。友ちゃ……っんん!本多さん、西野頼みます。』




「だから、友ちゃんでいいっ……いないし。」










俺は言われた通り、応接室へと向かった。……ビクビクしながら。










「ったくもう。チョコったら堅いのよ。」




「ねぇ、本多さん。葛城さんってやっぱ本多さんのこと馬鹿にしてますよね?」




「え?」




「やってあれ、いっつもやってるし。あれ言った後の去り際、いっつも笑ってるし。」




「…………チョコー!!」









こんなことがあったことは俺の知るところにない。
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