OrderDogMurder

□第一部 時季外れの転校生
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チャイムが鳴る。
「俺が呼ぶまでここで待ってて。」
紫髪は言った。
私は分かったと短く頷いた。
彼は教室に入っていった。
ドア越しに彼のよく通る声が聞こえる。

「今日は転校生がくるぞー」

教室がざわつく。
しかしまだ呼びに来ない。
焦らすつもりらしい。
黙って呼ばれるのを待っていた、ちょうどその時、向こうからダッシュしてくる赤髪の生徒が見えた。
「あーやべ、また遅刻だーー!」

確かに3分28秒の遅刻である。
赤髪の彼は私の立つ2Aで立ち止まった。そして私を見て

「お前誰?まさか転校生!?」

そう言うと彼は私の腕を掴みドアを開けた。
「アキラ!また遅刻だぞぉー!…っておい!せっかく俺が皆を焦らしておいたのにぃ!」
「あいたっ、ごめんて先生!それより転校生!なんで黙ってたんだよー!びっくりするじゃんかよ。」
「吃驚させるためだろ。」
「あ、そっか!」
アキラと呼ばれたその赤髪は、紫髪のケント先生に出席簿で縦に叩かれた。さぞ痛かろう。

ーー賑やかだな

私はそう思いつつ、先生に紹介を促した。
「えーっと、今日から転入してきた龍森翼さんだ。皆仲良くなー。さ、龍森、一言お願いね。」
先生は私に自己紹介を求めた。
「皆さん初めまして。俺は転校生の龍森翼です。趣味は読書、特技は暗記です。好きな教科は生物、嫌いな教科は特にありません。まだ分からないことだらけですが、よろしくお願いします。」
無難なことを言った。拍手がまばらに起こる。
「んじゃーこのやたら広い学園をあとで誰か案内してやれー。んー、じゃあアキラお願い。」
「はぁ!?選択の余地なしかよ!いいけどさぁ!あ、泉、お前も一緒な。」
アキラは後ろに座っている白髪眼鏡のいかにも真面目そうな生徒に言った。
「いいですよ。アキラだけだと不安ですし。」
泉と呼ばれた白髪眼鏡は、少し呆れながら言った。
「よーし、じゃあよろしくなー。」
そう言って、九瓏ケントは白衣を翻して戻って行った。

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